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2015.11.2

「汝の敵を愛せよ」はやはり難しい-自分への許しとレジリエンス

皆様,おはようございます。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

11月に入り,今年も2か月を切りました。一日一日を大事に過ごし,充実した一年にしたいものです。

さて,先日,テレビ「金スマ」を観ていると,ノートルダム清心学園理事長,渡辺和子さんの特集が組まれていました。

渡辺和子先生

渡辺和子先生のことは存じていましたが(ご著書は拝読していません),恥ずかしながら,ご尊父は陸軍大将で,二二六事件のとき渡辺さんの目の前で射殺されたとは知りませんでした。相当なトラウマを抱え,かつ乗り越えてこられた人生だったのだろうと若輩者の私にも想像できます。とてもレジリエンスの強い稀有な人物ですね。

番組の中で,特別印象に残ったエピソードがありました。渡辺先生は,聖書の教義でどうしても守れなかったものがあるとおっしゃられたのです。

その教義が,「汝の敵を愛せよ」でした。

なぜ私が,そのエピソードに特別な印象を持ったかというと,私も聖書の教義の中で,「汝の敵を愛せよ」がどうしても受容できなかったからです。

私は,36歳から41歳にかけて,とても辛いトラウマを抱え,そのトラウマが解消できるのではないかとの思いで,当時住んでいた場所の近くにあった教会の礼拝に,毎日曜日,通っていました。そこの牧師先生は,クリスチャンでない私を快く礼拝に迎え入れてくれました。

熱心に礼拝を重ねる私に対して,牧師先生は,何度となく,しかしながら強制することなく,自然の流れで洗礼を勧められました。クリスチャンになりなさいとおっしゃるのです。

ですが,私は,「汝の敵を愛せよ」がどうしても理解できず,それが理解できないままでは受洗できないとお断りしました。

牧師先生からは,その教義に対して優しく説教を受けましたが,私は頑固なのか思い込みが強いのか,なかなか納得できませんでした。そして,結局,受洗はしませんでしたが,変わらず礼拝への参加は快く迎えていただけていました。

渡辺和子先生の話に戻ります。「金スマ」の中で,渡辺先生は,かつて,テレビ番組の企画で,ご尊父を射殺した加害者の一人と,何の予告もなく対談をさせられたエピソードを披露されました。二二六事件のときの実行メンバーの将校の一人です。地位が低く事件の責任をそれほど負わなかったため,戦後も存命だったのでしょう。

そのとき,渡辺先生は,その加害者の元兵士と,どうしても打ち解けた会話ができなかった,許せなかった。つまり,「汝の敵を愛せよ」を守れなかったとおっしゃっていました。

渡辺先生ほどの素晴らしい方でも「汝の敵を愛せよ」が守れないのだから,自分なんて当然無理だよなあと思いつつ,そのときの渡辺先生の加害者に対する心境を聴いて,はっと気づきました。

加害者のことは今でもある意味許せないけど,「せめて相手の不幸を願わないことを心に留めて生きたい」と話されていました。

私ごときが渡辺先生の言葉を分析するのもおこがましいですが,渡辺先生は,「汝の敵を愛せよ」は守れないようで,加害者のことを既に赦されていると推察しました。そして,加害者に対する憎しみや憎悪といったネガティブ感情をコントロールし,相手の不幸を願わないといったポジティブな側面を捉えているようにも思いました。

さらに,渡辺先生は,加害者を許さない,愛さないといった自らの敬虔なクリスチャンとしての罪をも大局的に赦されていると感じました。

自分の行為を許せない,自分を愛せない人は,他人を許すことも,愛することもできません。

自分,失敗した自分,他人に憎しみ・憎悪を抱いた自分を許すと,意志力が高まり,レジリエンスが強化されます。

理解力の不足した私は,渡辺和子先生のお話を伺って,ようやく牧師先生の説教がわかりかけてきました。

「汝の敵を愛せよ」とは,自分自身の内面に生じた相手に対する敵愾心を受容し,赦し,愛せという意味なのではないかと。

敵に対する憎しみ・憎悪といったネガティブ感情を抱いた自分を受け止め,それを赦し,愛せということではないかと。

なので,ブログを愛読いただいている皆様も,もしひどい過ち・失敗を犯して後悔しているとき,罪悪感や悲しみを抱いているとき,許し難い怒り・憎悪を抱いているとき,そのような自分と自分のネガティブ感情を受け止め,深く反省・内省したうえで許してください。

そして,そのような状況のポジティブな側面を見つけ,見つめてください。そうすれば,利他心が芽生え,レジリエンスも強化されます。

それにしても,周囲には最近のテレビは面白くないから見ないと公言しながら,テレビネタで続けてブログを書く私はなんと一貫性がないのだろう。そんな言行不一致な自分も受容し,許容することにします。

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