会社概要

2015.7.2

幸運を引き寄せる力‐楽観性がもたらす組織レジリエンス

なでしこジャパンやりましたね。女子Wカップ準決勝,一度も勝てなかったイギリスに見事勝利して決勝進出!朝からテレビにくぎ付けで観てました。

前回の2011年Wカップとは異なり,今回は全試合テレビ中継されてますね。前回とはまるで注目度が違いますね。

周囲の注目度は違いますが,チームが試合を追うごとにまとまっていって強くなっている様子は共通しています。異なるのは,優勝経験チームなので,より戦い方を知っていることと,バランスの良い自信(自己効力感),リーダーの健全な楽観性が備わっていること。自己効力感も楽観性も強力なレジリエンス資源になりうるものです。

佐々木監督の,「今は負ける気がしない」という発言から,とても強い“健全な楽観性”がうかがえます。リーダーの健全な楽観性が,チームに幸運を引き寄せたのかなあと感じています。後半は,何度もイギリスのシュートがゴールをとらえたけど,バーに当たったり,キーパーが弾いたり,ぎりぎりのところで枠を外したりしましたので。幸運を引き寄せる力が強いのも強いチームの特徴なのでしょうね。

昔は,「勝つと思うな思えば負けよ」(柔 by 美空ひばり)と言われたように,気が緩んでしまうような(油断してしまうような)“無謀な楽観性”を戒める風潮があったのですが,今は,明確なビジョンと目標達成に向けた戦略に裏付けられる“健全な楽観性”は,チームマネジメントの上では歓迎・推奨されるようです。個人や組織のレジリエンスも高まりますしね。

試合後のなでしこジャパンのようすを見ていると,自己効力感や楽観性だけでなく,ポジティビティも溢れており,非常に良い状態に見えます。組織レジリエンスもピークに達しているように思います。

その他に,キャプテン宮間のキャプテンシーの成長・成熟が目覚ましく,期待しています。キャプテンとして臨んだロンドン五輪は決勝でアメリカに惜敗し,銀メダルに終わっているので,必ず雪辱を果たしてくれるでしょう。苦渋・試練・逆境を乗り越えた人やチームは,恐ろしくレジリエンスが高く,試合中にどのようなピンチに会っても動じず再起してくれるはずです。

というわけで6日(月)の朝もテレビから離れられません。

2015.6.28

傍観者効果を未然に防ぐレジリエンス(逆境力)‐名古屋に向かうのぞみでの出来事

ちょっと自慢話。誕生日に免じてお許しを。

いや自慢話に結局はなっていないかもしれません。私も集団心理の罠にかかり,外国人観光客に不快な思いをさせてしまったかもしれなかったので。

6月27日(土),翌日の名古屋での講座受講を控え,前日入りするためお昼頃に東京から発車するのぞみ指定車両に乗り込んだときの出来事です。新横浜を過ぎてまどろんでいると,車両内から「Do you speak English?」とネイティブな英語が聞こえてきました。どうも欧米から旅行に来た初老の男性が,英語を話す日本人を探しているようでした。私は英語はさほどうまく話せないし,多分,車掌か誰かがちゃんと応対するだろうと思い,再びまどろんだのでした。

それから,初老の外国人男性は,車内販売員(売り子さん)の女性に話しかけたところ,会話が通じなかったのか,さきほどよりも一層慌ていらつき,「Do you speak English?」と繰り返し座っている乗客に話しかけながら,車両を歩いていたのでした。

さすがに誰も応対しないのもまずいなあと思い,下手な英語を顧みず,「What’s wrong?」と話しかけて応対した私でした。
すると,件の男性は,安どの表情を浮かべたのち,しばらく私と会話して疑問が解決し,本来座るべき座席のある車両に向かったのでした。

聞くと,彼は,自分の切符を見せながら販売員に「この列車は名古屋駅に行くのか?」(ここからは日本語でお送りします。日本人ですので)と英語で尋ねると,販売員の女性は,「No!No!」と話したというのです。おそらく女性は,切符(自由席でした)を見て,「この切符は自由席のもので指定車両には乗れませんよ。」と言いたかったんだと想像しますが,彼にとっては,それ以前に,「この新幹線は名古屋には行かない。」と言われたと誤解し,パニックになったんでしょう。彼にとっては相当レジリエンスが試される状況だったに違いありません。不安やイライラといったネガティブ感情が渦巻き,心中穏やかではなかったでしょう。「親切で優しいと評判だったのに日本人はなんて不親切なんだ!」とか「名古屋に向かうチケットを買ったのに名古屋へ向かわないなんてどういうことだ!」なんて思い込みから様々なネガティブ感情が発生したのだろうなあと察しました。

その一方で,当初の私を含め,無関心を決め込んだ多くの乗客の心には,「誰かが応対してくれるだろう」とか「英語しゃべれないから無理だよ」といった思い込みがあったのだろうと思います。

この状態から双方が幸福な状態にするには,勇気をもって誰かが応対し,双方の立場のネガティブな思い込みを処理する必要がありました。レジリエンスを思い切り発揮した時間でした(←そんなに大層なことか?)

このときの私と外国人男性が乗っていた車両内の乗客の心理は,心理学用語で「傍観者効果」といいます。この効果は,「ある事件に対して、自分以外に傍観者がいるときに率先して行動を起こさない」集団心理の1つで,傍観者が多いほど起こる確率というか効果は高いと言われています。

傍観者効果の研究のきっかけとなった悲しい事件が,1964年にニューヨークで起こった「キティ・ジェノヴィーズ事件」です。この事件は,キティ・ジェノヴィーズさんが深夜に自宅アパート前で暴漢に襲われたとき,彼女の叫び声で近隣住民38人が事件に気づき目撃したにもかかわらず,誰一人警察に通報せず,助けにもいかず,結局暴漢はその後二度現場に戻り,彼女を殺害してしまったという痛ましい事件です。

このような傍観者効果が招く悲惨な事件を防ぐには,傍観者効果が発生しないような社会システムの構築が重要視されています。

私は,多くの市民のポジティビティが高まり,レジエンスが強化されれば,多くの人々の幸福度が増し,利他の心が浸透しますので,傍観者効果も未然に防げると思います。そんな社会をつくれるお手伝いをしたいなあと感じます。

それにしても私の英語はひどすぎる。レジリエンス資源を思い切り消耗してしまった…。TOEIC満点達成は夢のまた夢ですね(泣)。

2015.5.14

離職率を減少させる方法⑥-入社前研修でのビジョンの共有

最近,パソコンの調子が悪く,仕事もはかどらず,ブログも書けず,フラストレーションがたまる日々が続いています。感情のコントロールが難しい,レジリエンスが試される期間ですね。

入社前研修で重要なこと

最近の多くの企業では,内定者の人材マネジメントとして,配属面談,入社前メンター制度などのプログラムを実施しているところが多く,内定期間中に実施される入社前研修も広く普及されているようですね。私が入社前の内定者の頃は,バブルのまっ盛りなので,内定者研修と言えば,派手にお金を使い,アゴアシ付きで飲み食いさせてとにかく内定を取り消さないようにすることだけが目的の,研修とは名ばかりの宴会・懇親会でしたが,最近は違いますね。

最近の入社前研修は,楽しい宴会の雰囲気は薄くなり,しっかり教育・研修をしています。その中身は,資格取得支援,e-ラーニング,通信教育,課題レポートの提出,合宿研修,現場・店舗見学,現場実習などです。入社前から入社後即戦力になるようけっこう鍛えてようとしていますね。研修を行う側の企業の目的としては,内定期間の不安解消やモチベーションの中だるみ防止,他社に関心がいかないようにするための囲い込み,入社後の能力・スキルのばらつき防止などだそうです。
おそらく最後の囲い込みや能力・スキルのばらつき防止が主な目的ではないかと思います。早々と離職されるよりは先手を打って入社直後からしっかり働かせて費やしたコストの元をとってやろうぐらいしか思っていないんでしょうね。だったらコストのかかる入社前研修などやめてしまえば良いのに。日本の企業は未だに人は現場にでないと育たないとして計画的戦略的な人材育成が苦手なんだなあと研修の情報を調べてて痛感しました。

内定時には経営理念やビジョン・ミッションを共有させれば

入社前に現場実習を経験させて成功体験をつめば自信につながるとは思いますが,強烈な失敗をしてそれをケアするような研修をしなければ,かえって逆効果で入社前から自信を失い,無力感・敗北感などのネガティブ感情が蓄積し,離職につながります。

なぜ,企業は,入社前に役に立つかどうだかわからないけど学生が望むような資格取得支援をしたり,即戦力やスキルアップにはつながるかもしれないが自信を喪失させるかもしれない現場実習に拘るのでしょうか?そんなことをするよりも,企業の経営理念とかビジョンとかミッションとかクレドを共有するような取り組みをした方が良いように思います。それも打ち解けたポジティブな雰囲気で。内定しているとはいえまだ社員ではないので,がっつり「我が社のビジョンとは何か」なんてテーマでディスカッションすると内定者も引いてしまうけど,のんびりワークや遊びを入れてビジョンとかミッションの共有をすれば,内定者どうしの結束も高まって個々人のレジリエンスも強化され,会社への貢献意欲も高まり,組織レジリエンスも強化され,結果,離職率も減少するのに。

実は,持続的に繁栄している企業,エクセレントカンパニーは,このような入社前に企業のビジョン・ミッションを共有するようなプログラムを実行しています。だからこそ,社員が生き生きと働き,従業員幸福度も顧客満足度も高く,成長していけるのでしょう。

経営理念・ビジョン・ミッションの共有を行っていない企業は,察するに,「①ビジョンの共有なんて重要でない」と思っているか,「②ビジョンなんて対外的なものなのだから社員に共有させる必要はない」と思っているか,「③そもそもビジョンを明確化していない」のいずれかでしょう。

③のビジョンが明確化されていない企業は,悲しいですね。そのような企業は,企業のトップのキャラクターや価値観・世界観がビジョンになり経営理念になります。トップの人格が素晴らしければ良いんですが,ビジョンを明確化していない企業のトップの世界観・価値観は,どことなく社会に対する後ろめたい背徳感が感じられる場合が多いです(だからビジョンを明かさないのかも)。少なからずさまざまなタイプの企業と,その企業のトップと接してきた私の実感です。

2015.5.10

ネガティビティ溢れる国に明日はない-隣国の現状を伝えるニュースで考えたこと

かつて,元マレーシア首相のマハティール氏は,マレーシアを訪問した日本の首相が相も変わらず先の大戦の謝罪をすることに対して,「日本はもう謝罪する必要はない」と言い放ったそうです。同時期に,台湾の元総統,李登輝氏も同じようなことを日本に発していました。李登輝は戦前,京都大学に留学し,日本の植民地時代だった台湾のことはネガティブにはとらえていません。マハティールも東南アジアに進出した日本を帝国主義的な侵略者とはとらえておらず,それどころか,当時の日本を評して,
「日本の成功は東南アジアに大きな自信を与えた。日本の進出がなければ欧米の世界支配はさらにつづいていただろう」
「日本の戦争責任を問うならば,それ以前,非人間的な支配と収奪をつづけた欧米の宗主国の責任はどうなるのか。日本が来たことで植民地支配から解放され近代化がもたらされた」素晴らしい政治家ですね。

マハティールのような政治家こそが正しい歴史認識をもっている稀有な人物と思います。マハティールも李登輝もポジティビティ溢れる政治家で,短期間のうちに,それぞれの祖国を経済的に著しく成長させ,繁栄へと導きました。しかも,ほとんど大国の経済援助に頼ることもなく。

話題は変わり,日本海を挟んだ隣国のことが今夜のニュースで報じられていました。未だ日本統治下の時代を悪と評し,偽りの歴史事実をプロパガンダし,日本と共通の同盟国であるアメリカにもロビー活動している国のことです。偽りの歴史事実を掲げて反日感情を煽り,経済面での失政からくる政権批判の矛先を日本に向けさせている国のことです。極めてネガティビティ比の高い国ですね。歪んだ日本に対するネガティブ感情を高めることしか国をまとめあげることができないなんて。

今夜のニュースでは,かの国では,2つの疲れが蔓延しているとか。1つは「反日疲れ」。国民は,もう政府の反日には疲れてうんざりしているとのこと。そんなことよりそろそろ本腰入れて経済を立て直せよと思い始めているそうです。国民は政府が考えているほど愚かではないということでしょう。もう1つの疲れとは,「アメリカの○国疲れ」を国中が敏感に感じているそうです。先日のアメリカ議会での安倍総理の演説が高く評価されていることに,隣国のメディアはナーバスに報じているようです。アメリカは日本の隣国にそろそろ愛想をつきつつあるとか,かの国の反日プロパガンダに疲れているとか。隣国のメディアは,かの国の外交は短期的な戦術も長期的な戦略も敗北しているとの論調だそうです。深く納得できます。ようやく気づいたかと。かなり遅きに失したと思いますが。

安倍総理の米議会での演説は,過去の反省を交えつつ,将来のビジョンを示したもので高く評価されるのも理解できます。ネガティビティもあるがそれを上回るポジティビティ溢れる演説でした。政治的な業績はまだまだ評価できませんが,あの演説は評価されてもよいと思います。

ポジティビティが溢れる人や組織は,レジリエンスが強化され,持続的に繁栄していきます。これは真理だと思います。かの国の政治家が,マハティールや李登輝のような正しい歴史認識をもつようになり,ポジティビティが高まり,我が日本と良好な関係になることを切に望みます。

今夜のニュースで,隣国のとある観光地で日本統治下の街並みを再現したところ,観光客が増えて経済的に潤ったとか。その地の観光ガイドは,日本統治下の当時のことを土地の人は誰も悪く言う人はおらず,むしろ良い印象があったので,思い切って日本家屋などの日本統治下の街並みを再現したとか言ってました。かの国では,政治家よりも一般人の方が正しい歴史認識をもっているのかもしれません。

2015.3.30

弁護士1000人を海に沈めたらどうなると思う?

物騒なタイトルで驚かれたかと思いますが,これは映画の一セリフです。別に弁護士に恨みがあって書いたのではありません。
3月28日のニュースで,最高裁と法務省が司法試験の合格率が低いことなどを理由に,2015年度から教員として裁判官や検察官を派遣しない法科大学院が24校に上ると報じられました。その中には,既に募集を停止している地元の私立大学もあり,そこに通って弁護士を目指していた飲み友達を知っているので,つい気になって記事を読んでみました。
日本の法科大学院(ロースクール)制度は,2004年にスタートしました。目的は色々あると思いますが,法曹人口拡大の要望に応えようとしたことが制度開始の最大の要因と思われます。2005年時の日本の法曹人口は,25000人で,人口10万人に対して19.75人。先進国で最も多いアメリカの法曹人口は107万人で,人口10万人に対して365人も弁護士が存在します。アメリカ並みに法曹人口を増やすとまではいかないまでも,弁護士過疎地をなくしたり,法曹サービスを拡大するためには,平均的な先進国並みの法曹人口が必要と考えて,法科大学院制度を導入したのでしょうね。ただ制度が開始されて,さほど司法試験合格実績もない大学までも法科大学院を設置する,“ロースクールバブル”が発生するとは考えなかったのですかね?制度が導入されて10年ほどしか経っていないのに,既に3割の大学院が淘汰されて消滅し,今でも淘汰は加速されているのですから,法科大学院制度は完全に崩壊しているように思えます。なんとレジリエンスの弱いシステム,脆弱な制度なのでしょう。こうなったら,いくとこまで淘汰を見届けたのち,生き残った法科大学院と,法曹人口を受け入れる社会を含めて制度を立て直す必要があるでしょうね。
2014年の日本の弁護士人口は,法科大学院制度導入時に比べ,2倍の3万5千人になっているようですが,数は増えたものの,経済状況は以前と比べて困窮化しており,弁護士は,高給な職業の代表とはいえないようです。そりゃそうですよね。アメリカのように何かトラブルがあったら訴訟するような,訴訟がビジネス化していないですから,日本は。アメリカの弁護士は,病院に入院している患者に営業活動しているほどですからね。日本は,アメリカ社会のように,濫訴が当たり前の様な社会になってほしくないですね。ポジティビティ溢れる社会であってほしいと思います。
冒頭のセリフは,映画「フィラデルフィア」で,エイズ発病を理由に不当に解雇された敏腕弁護士であるトムハンクス演じるアンディが,死の間際に,彼の弁護を引き受けたデンゼル・ワシントン演じるミラーに言った言葉です。トムハンクスはこの演技でアカデミー主演男優賞を受賞しました。

アンディ:「弁護士1000人を海に沈めたらどうなると思う?」
ミラー:「さあ?」
アンディ:「世の中良くなる。」

こんな弁護士は乱造してほしくないですね。