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2015.3.27

感覚を満たす心地よさと満ち足りた幸福感を経験できるホテル

ビジネススクール時代にケーススタディで取り上げられて感動したため,勢いで分不相応なホテルに宿泊したことがあります。その名をリッツカールトン大阪といい,世界屈指のサービスを提供するホテルです。宿泊した最大の目的は,ゴージャスなサービスを享受するのではなく,リッツのスタッフが常に携帯している“クレドカード”をもらうためです。そのクレドカードは,今でも肌身離さず持っています。
サービスモットーは,“We are ladies and gentlemen serving ladies and gentlemen.”訳すと,「紳士淑女をおもてなしする,私たちこそ紳士淑女です。」というところでしょうか?凄いモットーですよね。クレドの内容も素晴らしく,「リッツカールトンでお客様が経験されるもの,それは,感覚を満たすここちよさ,満ち足りた幸福感,そしてお客様が言葉にされない願望やニーズを先読みしておこたえするサービスの心です」といった幸福感とポジティビティ溢れる文章が綴られています。この文面は偽りのものではなく,宿泊すれば,このようなサービスが体感できます。
しっかりしたクレドをもつ企業と,それを従業員一人一人が心底大事に共有する企業文化は,企業の人材育成においても,社員教育においても,リーダーシップ育成においても重要ですね。さらに,組織のレジリエンスも高まります。ジョンソン&ジョンソンも有名なクレドをもつ企業ですが,1982年に起こったタイレノール事件の際,経営陣が「消費者の命を守る」というクレドに従って素早く対応したため,企業ブランドを失墜させず,リスクを最小限に食い止めたというリクスマネジメント,コーポレートガバナンスの御手本のようなケースがありました。まさにレジリエンスをクイックに発揮した好例ですね。(本物の)クレドはレジリエンスを担保するということなのでしょう。
3月28日,久しぶりにリッツカールトン大阪に出向き,母校のビジネススクールの修了生を祝う祝賀会に出席します。我が母校の可愛い後輩たちもゴージャスになったものです。お財布からお金が羽根を生やして飛んでいき,レジリエンスが試される試練を耐えることになります。

2015.3.12

ミドリムシで海外旅行に行く近未来

ミドリムシって知っていますか?体長約80μmの淡水性単細胞生物です。ごくふつうに水たまりなどで見られます。名前に「ムシ」とついていますが,昆虫のような節足動物ではありません。どちらかといえば,緑藻類に近い生物です。高校の生物教科書では,クロレラやアオサなどの緑藻類に分類される場合が多いです。よく「植物と動物の両方の特徴を合わせ持つ生物」と言われていますが,分類上は植物でも動物でもないですね。どちらかと言えば,クロロフィルaとbをもって光合成をしているので,植物に近い。

この生物の学名から社名がつけられた「ユーグレナ」というバイオベンチャーが大活躍してますね。ミドリムシの大量培養に成功して,極めて栄養価の高いミドリムシを含む健康食品を製作・販売し,大ヒットさせたかと思えば,いすずと技術提携して次世代バイオディーゼル燃料を開発したり,アメリカの石油大手シェブロンから技術供与を受け,航空機向けバイオ燃料の製造に着手したり,しばらく目が離せませんね。株価も相当上昇しているみたいです。

このユーグレナを率いる出雲充社長,数多くの逆境や苦難,挫折を乗り越え,ミドリムシの大量培養と製品化に成功してます。著書「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」に創業から現在に至るストーリーが書かれています。温和なお顔をされていますが,相当にレジリエンスの強い方ですね。レジリエンスの強い出雲社長が経営する「ユーグレナ」という会社は,まさしくポジティビティが高く,組織レジリエンスも強いんでしょうね。人財も豊富で,かつ人材育成も企業内でしっかりされていることと思います。一度,取材に行きたいものです。

近い将来,ミドリムシからつくられたジェット燃料で飛ぶ航空機に乗って,ふつうに海外旅行に行く日が来たとき,出雲社長のビジョンが実現したときなのかあと思います。それにしても私も言ってみたい。「ポジティビティとレジリエンスで世界を救うことに決めました。」と。

2015.3.10

レジリエンスな街‐女川町

明日は,3.11。日本人としては決して忘れてはならない日ですね。震災で犠牲になられたすべての方々のご冥福をお祈りし,一日も早い完全な復興を心より祈念します。

4年前の2011年3月11日は広島にいましたが,部下の女性に文部科学省の教科書検定の意見調整のため東京出張に行ってもらっており,また,2日後に東京で開催を控えていたセミナーの準備にかかっていたので,とても他人事には感じられず,仕事も手がつかずに食い入るようにニュースを見ていました。テレビで報じられる津波被害の凄まじさを目にして,得体のしれない不安感と恐怖感を感じたのを記憶しています。遠く離れた広島の地に住む人間でも,このようなネガティブ感情を抱いたのですから,実際に震災に遭われた東北の人々の不安感・恐怖感は想像を絶するものだったでしょう。心臓がえぐられるほど胸が痛みます。

どういうわけだか復興の進行も遅れているようですね。その中でも,先日,とあるテレビのニュースで拝見しましたが,女川町の復興計画のコンセプトは素晴らしいですね。従来の「防災」という概念から,「減災」という概念を重視し,子孫が津波災害から逃れるように高台に住宅地を建設したり,市街地や密集した集落部には,避難場所や避難ビル,避難路を整備したり,市街地の孤立化防止策として内陸部に防災道路を整備したり…。災害を防止するという従来の姿勢から,災害が発生しても被害を最小限に食い止め,災害後は短期間に再起する「減災」をコンセプトにした街づくりが実行されている。2012年11月に完成した減災冷凍冷蔵倉庫も素晴らしいですね。レベル1の津波が襲来しても,津波の力を受け流して建物を支える柱や梁を守るように1階の外壁パネルが外れるように設計されており,2階の冷蔵庫の商品を守るように設計されています。

「どのような困難な状況においても,状況を把握し,反応をコントロールし,逆境や困難な状況からしなやかに再起する」街づくり。女川町は,まさにレジリエンスな街だなあと感じました。このような減災レジリエンスの概念をもとに日本中の都市計画が進めば良いですね。

明日は,黙祷を捧げ,これからも強いレジリエンスを発揮している東北の人々と東北の街並みの復興を応援し続けます。