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2015.3.23

家具屋姫と裸の王様-ネガティビティ溢れるおとぎ話の行く末

夕方,偶然テレビのニュースを見ていたら,今注目の“家具屋姫”こと大塚家具社長,大塚久美子氏が生出演されていました。冷静でスマートな敏腕経営者といった印象を受けましたが,ポジティビティは感じなかったですね。ニュースの焦点が,一連の御家騒動の顛末とプロキシ-ファイトの勝敗だったので,とても会社のこれからのビジョンや,顧客や自分についてきてくれた従業員,ステークホルダーへ感謝する言葉などは(思っていると好意的に考えたとしても)お話しできなかったんでしょうね。
親父さんである勝久氏の会見も少しだけ見ましたが,久美子氏よりもはるかにネガティビティ溢れる,実の娘に対する憎悪に満ち満ちた会見でしたね。ついていく社員が可哀そうになります。娘の経営方針は,自分が築いていったビジネスモデルを全否定する行為だと認識したのでしょうね。その点について,テレビで久美子氏は,何度説明しても,思い込み,事実誤認を理解してくれなかったと嘆いています。
双方ともステークホルダーの利害を優先すると言っているところも面白い。そうでも言わないとプロキシーファイトに勝てないからなんでしょうが,同族企業や創業者一族の御家騒動は,ごく一部の株主(創業者を含む)にだけ利益を生み,大半のステークホルダーは大損する場合が多いですね。過去に起こった一連の御家騒動を見ればわかります。そう考えれば,先の2人の発言は滑稽でしかないですね。
プロキシーファイトの勝敗がどちらに転ぼうとも,ネガティビティに満ち満ちた企業の風土をポジティビティの高い,良い方向に転換させるには相当な努力が必要でしょう。外圧がかからないと転換しないかもしれません。
しかし,今回の御家騒動の構図,内部で同胞たちの対立をあおり,戦わせると言った近現代の戦争の構図と奇妙なぐらい似通っていると感じるのは私だけでしょうか?

2015.3.17

ヒトがヒトを殺める理由‐レジリエンスが弱まり,コントロールを失うとき

先日,福井県で痛ましくも不可解な殺人事件がありましたね。生態学者が教え子を殺めてしまうという。推定無罪が原則なので,自白した(と報じられている)とは言え,刑が確定していない段階で軽々しく件の准教授を犯人扱いしてはいけませんが,事実ならば残念でならないですね。絶滅危惧種を保護し,生物多様性を維持する研究をしていた生態学者が,よりによって最も身近な生命を奪ったのですから。

政策大学院大学の副学長で行動生態学者の長谷川真理子教授は,男性の殺人について,進化心理学的,行動生態学的にユニークな持論を展開しています。いわく,男性が他の男性を殺人する動機は,生物的な配偶者獲得競争が根底にある自己顕示欲の現れとか。そのベースには,「種の起源」で有名な,かのチャールズ・ダーウィンが唱えている「性淘汰の理論」があります。詳しく書くと長くなるので書きません。
男性が男性を殺す動機の1位は,金銭面のトラブルでも,嫉妬でもなく,第三者から見ればくだらない「自己のメンツを守る」ということ。それは配偶者獲得競争においての自己顕示欲,自己評価の表れだと長谷川真理子氏は論じています。また,男性が女性を殺す理由としては「性的嫉妬」が多く,自分が愛しているのに自分を捨ててしまった女性を殺すケースが非常に多いと言及した上で,それは,雄の雌への配偶者防衛の表れだと書いています。
男性が女性にストーカー行為をくり返したり,夫が妻にDVを行ったりするのも,生物学的な配偶者防衛行動のコントロールを逸脱したものだと長谷川氏は言っています。本能が理性をコントロールできなくなったのでしょうね。

今回の事件の動機は,皆目見当がつきませんが,冷静な判断力を失って,感情のコントロールができなかったことは容易に想像できます。レジリエンスが相当弱まっていたのでしょうね。断定はできませんが…。
今回のブログは,長々と生物の教科書のような退屈な文章を書いてしまいました。それだけ私にとって,今回の事件はショックだったのです。

2015.3.15

レジリエンス基礎セミナー開催しました

2015年3月13日(金),梅田北阪急ビル2階のNTTイフセミナールームにて,レジリエンス基礎セミナーを開催しました。アナウンスの期間が短かったにもかかわらず,10名の方にご来場いただき,本当に嬉しかったです。感謝感謝感謝です。

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某web制作会社の皆様が,社員研修の一環で参加され,有り難いですね。アンケートを拝読すると,私の講演は,拙い説明でしたが,「わかりやすかった」,「レジリエンスについて理解できた」の意見が多く,ほっと胸をなでおろしました。多くの方々にレジリエンスやポジティビティの意義について理解していただくことは,レジリエンス・トレーニング講師冥利につきますね。

参加者の御一人の方から,「考え方でポジティブになれることがわかって嬉しかったです。」というご意見をいただき,本当に嬉しかったですね。状況の捉え方(perception)を変えたり,思い込みを手なづければ,ネガティブ感情が抑制され,ポジティブ感情が発生することをワークを通して説明したのですが,実感されたようで,本当に嬉しいです。ありがとうございます。

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次回は,3月18日(水),18時30分より,東京の神田,エッサム神田ホール9階プレゼンルーム1で開催します。お時間のお空きの皆様,レジリエンス・トレーニングに興味をもたれる皆様,ご参加をお待ちしております。

2015.3.12

ミドリムシで海外旅行に行く近未来

ミドリムシって知っていますか?体長約80μmの淡水性単細胞生物です。ごくふつうに水たまりなどで見られます。名前に「ムシ」とついていますが,昆虫のような節足動物ではありません。どちらかといえば,緑藻類に近い生物です。高校の生物教科書では,クロレラやアオサなどの緑藻類に分類される場合が多いです。よく「植物と動物の両方の特徴を合わせ持つ生物」と言われていますが,分類上は植物でも動物でもないですね。どちらかと言えば,クロロフィルaとbをもって光合成をしているので,植物に近い。

この生物の学名から社名がつけられた「ユーグレナ」というバイオベンチャーが大活躍してますね。ミドリムシの大量培養に成功して,極めて栄養価の高いミドリムシを含む健康食品を製作・販売し,大ヒットさせたかと思えば,いすずと技術提携して次世代バイオディーゼル燃料を開発したり,アメリカの石油大手シェブロンから技術供与を受け,航空機向けバイオ燃料の製造に着手したり,しばらく目が離せませんね。株価も相当上昇しているみたいです。

このユーグレナを率いる出雲充社長,数多くの逆境や苦難,挫折を乗り越え,ミドリムシの大量培養と製品化に成功してます。著書「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」に創業から現在に至るストーリーが書かれています。温和なお顔をされていますが,相当にレジリエンスの強い方ですね。レジリエンスの強い出雲社長が経営する「ユーグレナ」という会社は,まさしくポジティビティが高く,組織レジリエンスも強いんでしょうね。人財も豊富で,かつ人材育成も企業内でしっかりされていることと思います。一度,取材に行きたいものです。

近い将来,ミドリムシからつくられたジェット燃料で飛ぶ航空機に乗って,ふつうに海外旅行に行く日が来たとき,出雲社長のビジョンが実現したときなのかあと思います。それにしても私も言ってみたい。「ポジティビティとレジリエンスで世界を救うことに決めました。」と。