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2015.3.22

革命家にオプティミストが多い訳-楽観性とレジリエンス・リーダー

先日,大阪でビジネススクール時代の友人と飲んで話していたとき,革命を成し遂げたリーダーの話題が上がりました。その友人は,とある中米の革命を成し遂げたリーダーをリスペクトしているのですが,そのリーダーや,中国,東南アジア,中東で革命を(大国の援助もなく)成功させたリーダーには,ある1つの共通点があるなあと感じました。
その共通点とは,楽観主義(オプティミズム)です。誤解のないように書けば,やみくもな楽観主義ではなく,“健全な楽観主義”でしょうか。過去の革命リーダーは,底抜けな楽観主義者が多いですね。自分の組織が壊滅状態に達しても,決して悲観せず,成功を信じて疑わない。発狂してるんじゃないかと錯覚するほど楽観的です。
楽観性が高いことは強いレジリエンスの構成要素の1つです。過去の革命家がことごとく楽観主義なのも,レジリエンスの強い人が多いからなんでしょうね。
ポジティブ心理学では,成功した人がオプティミスト(楽観主義者)になるのではなく,オプティミストこそが成功すると論じられています。世に言う革命を成功させたリーダーにオプティミストが多いのも,ある意味,真理なのかもしれません。
ただ,革命を成し遂げた楽観的なレジリエンス・リーダーも,長く権力の頂点に座り続けると,いつしか堕落・腐敗し,レジリエンスは弱まり,ポジティビティは低下し,やがて自身も組織も衰退・崩壊の道をたどります。一方で,どんなに権力を保持続けても,決して堕落せず,レジリエンスとポジティビティを高いレベルに保ち続けるリーダーも少ないですが存在します。そのようなリーダーこそ,組織を持続的な繁栄に導く真のリーダーです。私は,レジリエンスの強い人を数多く育成したいと考えていますが,それ以上に,永続的にレジリエンスとポジティビティを高いレベルで持ち続ける真のリーダーも数多く育てたいと思っています。
真のリーダーとは,どのような人物か,このブログでこれから紹介していきたいと思っています。

2015.3.21

営業マンとレジリエンス‐レジリエンス・トレーニングの有効性②

前回のブログの続きです。営業マンにとって,レジリエンス・トレーニングは,現状を打開し,目標達成に向けたオプションを見出すトレーニング,または顧客を納得させる論理的なクロージングの訓練に有効なようです。

先日のレジリエンス基礎セミナーでのこと。レジリエンス・トレーニングの一環として行ったワークでは,最近起こった困難な状況,困った出来事から生じたネガティブな感情・反応を認知し,思い込みを対処する方法を試みました。認知行動療法でいう,エリスのABCDEモデルを用いてワークを行ったのですが,これがなかなか難しいようですね。エリスのABCDEモデルは,「人の感情や反応・行動は,出来事が原因ではなく,出来事に対する個人の捉え方・考え方の違いによって生み出され,出来事に対する捉え方・考え方を変えれば結果として感情や行動を変えることができる」という理論が前提にあります。そこでワークでは,困った出来事(adversity)から生じたネガティブな感情や行動(consequence)を確認し,その後,その感情や行動はどのような思い込み(beliefまたはperception)から発生したのか,思い込みを見つけ出します。そして,その思い込みを論理的・合理的に反論(dispute)して,ネガティブ感情や行動をポジティブに変化させる効果(effect)を確認します。
このABCDEのモデルを応用するとき,自分の一連の行動を分析してABCDEに当てはまるのが難しいようですね。Adversityに思い込みや感情を入れたり,Consequenceに状況や思い込みを組み込んだり。最も難しいのは,感情や反応を発生させる思い込みの認識ですね。多くの方は,状況からくる感情や反応には思い込みはないと感じていると思います(心理学でいうオートパイロット)。ですが,それも“思い込み”で,なんらかの感情や反応には,必ずその人のbelief,perceptionが存在します。日本人は,感情認知やperceptionの確認が本当に苦手なようです。欧米では,感情認知の訓練を義務教育で行うようですね。
そこで,レジリエンス基礎セミナーにこのABCDEモデルを使った感情認知と思い込みに対する反論のワークをすると,思いのほか好評でした。特に,思い込みを論理的合理的に反論するプロセスにおいて,思い込みや状況を論理的に分析・思考し,さまざまな肯定的な可能性を見出して反論する過程は,営業マンが,売り上げ目標達成が困難な状況に陥っても,ロジカルシンキングによって現状を打開し,課題を解決する多くの選択肢(オプション)を発見するトレーニングにもなるし,顧客を論理的に納得させるクロージングのトレーニングにもなると,受講された営業担当者の方々から教えていただきました。
レジリエンス・トレーニングは,営業マンがセールススキルを向上させるにも有効なことが実感できました。

2015.3.20

営業マンとレジリエンスーレジリエンス・トレーニングの有効性①

先日のレジリエンス基礎セミナーには,某ビジネス書籍出版社の営業担当者の方が出席されました。アンケートを拝読すると,その営業担当者としての最大の悩みは,自分自身の売り上げ目標達成と,部下の目標達成だとのことでした。多くの営業マンも同じような悩みを抱えているようですね。
セミナーでは,レジリエンス・トレーニングを一部体験していただくため,ネガティブ感情を発生させる“思い込み”を処理するワークをしたのですが,それが好評だったようですね。目標達成を日頃から口やかましく言う上司に対する思い込みに対応したり,あるいは,目標達成に悩む部下のネガティブな反応や行動の原因となる思い込みを手なづけたりする方法が学べて,参考になったとの意見をいただきました。嬉しい意見ですね。
すべてのネガティブな感情や反応は,逆境や困難な状況に対する思い込み(perception)によって生じます。その思い込みを上手く処理すれば,ネガティブ感情や反応を解消させることができます。レジリエンス・トレーニングでは,まず,このようなネガティブ感情の解消・脱出と,ネガティブ感情を生じさせる思い込みを処理することから始まります。

2015.3.18

東京での初セミナー,終了しました

3月18日,東京で初のレジリエンス基礎セミナーを開催しました。場所はエッサム神田ホール1号館です。
アナウンス能力が足りず,当日キャンセルもあり,受講者は決して多くはありませんでしたが,ご多忙の中,ご出席いただいた皆様,本当にありがとうございました。感謝感謝でございます。
受講者が少ない分,とても凝縮したセミナーになりました。アットホームな中でワークに取り組むことができ,レジリエンスについて,かなり理解できたとの意見を多くいただきました。嬉しいですね。
さらに嬉しいことは,レジリエンス講師養成講座でともに学んだ同期の方が出席されたことですね。セミナー終了後,過分なポジティブストロークをいただき,自信が湧きました。まさにレジリエンス資源。レジリエンス・トレーニングのセミナーをしながら,受講者にレジリエンス・トレーニングをしてもらうという,ミイラ取りがミイラになったような構図が展開されていました。何はともあれ,充実感に浸っています。東京20150318

来週は,3月25日(水)に東京で,翌日26日(木)に大阪で開催します。よろしくお願いします。

2015.3.17

ヒトがヒトを殺める理由‐レジリエンスが弱まり,コントロールを失うとき

先日,福井県で痛ましくも不可解な殺人事件がありましたね。生態学者が教え子を殺めてしまうという。推定無罪が原則なので,自白した(と報じられている)とは言え,刑が確定していない段階で軽々しく件の准教授を犯人扱いしてはいけませんが,事実ならば残念でならないですね。絶滅危惧種を保護し,生物多様性を維持する研究をしていた生態学者が,よりによって最も身近な生命を奪ったのですから。

政策大学院大学の副学長で行動生態学者の長谷川真理子教授は,男性の殺人について,進化心理学的,行動生態学的にユニークな持論を展開しています。いわく,男性が他の男性を殺人する動機は,生物的な配偶者獲得競争が根底にある自己顕示欲の現れとか。そのベースには,「種の起源」で有名な,かのチャールズ・ダーウィンが唱えている「性淘汰の理論」があります。詳しく書くと長くなるので書きません。
男性が男性を殺す動機の1位は,金銭面のトラブルでも,嫉妬でもなく,第三者から見ればくだらない「自己のメンツを守る」ということ。それは配偶者獲得競争においての自己顕示欲,自己評価の表れだと長谷川真理子氏は論じています。また,男性が女性を殺す理由としては「性的嫉妬」が多く,自分が愛しているのに自分を捨ててしまった女性を殺すケースが非常に多いと言及した上で,それは,雄の雌への配偶者防衛の表れだと書いています。
男性が女性にストーカー行為をくり返したり,夫が妻にDVを行ったりするのも,生物学的な配偶者防衛行動のコントロールを逸脱したものだと長谷川氏は言っています。本能が理性をコントロールできなくなったのでしょうね。

今回の事件の動機は,皆目見当がつきませんが,冷静な判断力を失って,感情のコントロールができなかったことは容易に想像できます。レジリエンスが相当弱まっていたのでしょうね。断定はできませんが…。
今回のブログは,長々と生物の教科書のような退屈な文章を書いてしまいました。それだけ私にとって,今回の事件はショックだったのです。