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2015.4.3

協調性のない人の対処法‐レジリエンス・トレーニングの効能②

前回のブログのつながりで,今回は,「協調性のない人」への対処法をとりとめもなく書こうかと思います。これも,セミナーのアンケートで「協調性のない人はどのように協調的になるのでしょうか」という意見をいただいたので,少し気になったのです。意見を書いた人は,部下にいわゆる“協調性のない”人がいるのか,あるいは上司・同僚に“協調性のない”人がいるのかのどちらかだろうと思います。人材育成,社員教育って本当に難しいですね。

ふつう,協調性のない人といわれる人ってどんな人なんでしょうか?私自身が協調性のないからか(前職ではよく上司や先輩に言われました),あるいは,ことさら他人に協調性(同調性)を求めないからなのか,協調性のない人の特徴って,よくわからないのです(それはお前のような奴のことだと言われればそれまでですが,いわゆる無知の知,いや無知の無知か?)。
そこでネットで協調性のない人の特徴を調べてみました。協調性のない振る舞いとは,1.すぐ断る。2.我慢しない。3.助けない。4.人目を気にしない。5.会話を断ち切る。だそうです。5つの振る舞いのうち,3.の助けないは最低最悪,5.の会話を断ち切るも行動としては好ましくない,4.の人目を気にしないも日本的な礼節に欠け,好感が持てないですね。ですので,3~5の振る舞いが協調性のないとは深く理解できます。ですが,1.のすぐ断ると2.の我慢しないの振る舞いがなぜ協調性のない振る舞いになるか,理解不能です。

日本人は,他の民族に比べて社会的証明(social proof)に影響を受けやすいというか,周囲と異なる振る舞いをしてしまうと奇異に感じ,忌避感,違和感を感じるようですね。挙句,「こいつは協調性がない」というレッテルを条件反射的に考えもなく貼ってしまう。周囲との同調を求めすぎると,没個性につながる危険もあり,独創性や多様性がそがれる負の側面もあるのですけどね。
5つの協調性のない振る舞いの共通点を挙げれば,「空気が読めない」,「空気を読まない」でしょうか。その逆である「空気が読める」は,「周囲に気配りができる」と言い換えることができ,総じて「思いやりがあって視野が広い」ということなのでしょう。レジリエンス・トレーニングをつめば,状況を正確に把握できる視野の広さが身につき,ポジティビティを高められるので思いやりも身につきます。

協調性の意味を改めて調べると,「異なった環境や立場に存する複数の者が互いに助け合ったり譲り合ったりしながら同じ目標に向かって任務を遂行する素質」(Wikipedia)だそうです。本来の意味からすれば,「意味もなく周囲に合わせること」が協調性の意味でないことはわかりますね。論理的合理的な理由があれば,「すぐ断ったり」,あるいは「我慢しなかったり」することは必ずしも「協調性のない」とは言えないと思います。

ポジティビティを高めれば,利他心が養われますので,本来の意味での協調性である,「異なった環境や立場に存する複数の者が互いに助け合ったり譲り合ったりしながら同じ目標に向かって任務を遂行する」振る舞いが身につきます。これもレジリエンス・トレーニングで習得できます。いわゆる「協調性のない」といわれる私が身についたのだから間違いないでしょう。

2015.4.1

同じミスを何度も繰り返す人の改善法‐レジリエンス・トレーニングの効能

先日のレジリエンス基礎セミナーのアンケートで,「何度も同じミスをくり返す人をどのように指導して改善できるでしょうか?」という質問がありました。おそらくその質問を書かれた方は,同じミスを何度も繰り返す部下がいて,その人材育成教育,社員教育に悩んでいるのでしょう。
「同じミスを何度も繰り返す」原因を論理的に分析すると,その人自身に起因する場合と,その人以外の環境に起因する場合に分けられます。その人以外の環境に起因する主なものは,手順の複雑さや,ミスが発生した外部環境の物理的な問題(作業のスペースが十分でない,装置の配置が適さないなど)があります。これらは,外的な問題点を改善すれば,ミスの反芻を解消することができますね。
その人自身に起因する場合をさらに分析すると,先天的な要因と後天的に備わった要因に分けられます。先天的な要因は,例えば極端な例ですが,大人のADHD(注意欠陥・多動性障害)のような場合です。ADHDの病因はいまだ不明ですが,行動を注意深く選ぶ働きをする脳の前頭前野や,衝動性を抑える働きをもつ大脳基底核が,健康な人に比べて機能していないといわれています。実際に,ミスを繰り返さない人と何度も同じミスを繰り返す人との脳の活動量を調べた研究では,ミスを繰り返さない人が一度ミスをすると,脳の前頭葉が活発に働いていましたが,何度も同じミスをくり返す人が一度ミスをしても,脳の前頭葉はあまり活動していなかったデータがあります。ミスを繰り返さない人は,ミスから学び,同じミスを繰り返さないメカニズムの存在が脳機能的に証明されているようです。後天的な要因としては,単純なワークのようなときに慣れや思い込みが生じて不注意なミスをくり返す場合でしょうね。
先天的な要因も後天的な要因も,レジリエンス・トレーニングを行えば改善できます。レジリエンス・トレーニングでは,ポジティブ感情を高めますが,ポジティブ感情が高めると前頭葉の活動が活性化され,注意力が拡張されますし,抑うつ傾向が減少して衝動性も抑えられます。また,レジリエンス・トレーニングは,状況を把握し,感情を認知し,反応をコントロールする適応力も身につくので,慣れや思い込みによるケアレスミスも激減すると思います。
レジリエンス・トレーニングが,人材育成,社員教育,とりわけ社員のモチベーション向上,生産性の向上に最適なトレーニングである理由がここにあります。

2015.3.31

花見ジョギング‐心地よい時間のなかにも批判犬が吠えるとき

運動不足解消とストレス解消(それにネガティブ感情の悪循環解消)のため,時間があれば夕方から近所の川べりをジョギングすることにしています。ちょうど今の時期は桜がほぼ満開で,ジョギングしながら花見もできて心地よいですね。
適度な運動は,健康維持やストレス減少だけでなく,心理学の研究では,幸福度を高める最も有力な要因と言われています。ハーバード大学の著名なポジティブ心理学者,タル・ベン・シャハーは,「運動しないことはうつになる薬を飲んでいるようなものだ。」と述べています。
実際に,有名な研究で運動の効果を示す科学的証拠が挙げられています。うつ病患者を3つのグループに分け,1つ目のグループには抗うつ剤を処方し,2つ目のグループにはエアロビクスのみを行わせ,3つ目のグループはその両方を組み合わせて治療し,経過を比較する研究が行われました。6ヶ月後,1つ目のグループ(抗うつ剤のみ)の被験者のうち38%,3つ目のグループ(混合治療)の被験者のうち31%がうつの再発がみられましたが,エアロビクスのみのグループでは,9%しかうつの再発は見られなかったようです。抗うつ剤の効果って何なんだ?ってなエビデンスですよね。
そんな良いことずくめのジョギングに加え,ポジティブな感情を高める桜を観賞していても,花見をしていたとあるグループが美味しいワインを飲んでいるのを見てしまうと,不思議と心ざわめき,少しイライラとネガティブな感情が湧き起こった気分になりました。ほんの一瞬ですが…。いかんいかん,脳の中で“批判犬”が吠えている。手なづけねば。レジリエンスが試される…。

2015.3.21

営業マンとレジリエンス‐レジリエンス・トレーニングの有効性②

前回のブログの続きです。営業マンにとって,レジリエンス・トレーニングは,現状を打開し,目標達成に向けたオプションを見出すトレーニング,または顧客を納得させる論理的なクロージングの訓練に有効なようです。

先日のレジリエンス基礎セミナーでのこと。レジリエンス・トレーニングの一環として行ったワークでは,最近起こった困難な状況,困った出来事から生じたネガティブな感情・反応を認知し,思い込みを対処する方法を試みました。認知行動療法でいう,エリスのABCDEモデルを用いてワークを行ったのですが,これがなかなか難しいようですね。エリスのABCDEモデルは,「人の感情や反応・行動は,出来事が原因ではなく,出来事に対する個人の捉え方・考え方の違いによって生み出され,出来事に対する捉え方・考え方を変えれば結果として感情や行動を変えることができる」という理論が前提にあります。そこでワークでは,困った出来事(adversity)から生じたネガティブな感情や行動(consequence)を確認し,その後,その感情や行動はどのような思い込み(beliefまたはperception)から発生したのか,思い込みを見つけ出します。そして,その思い込みを論理的・合理的に反論(dispute)して,ネガティブ感情や行動をポジティブに変化させる効果(effect)を確認します。
このABCDEのモデルを応用するとき,自分の一連の行動を分析してABCDEに当てはまるのが難しいようですね。Adversityに思い込みや感情を入れたり,Consequenceに状況や思い込みを組み込んだり。最も難しいのは,感情や反応を発生させる思い込みの認識ですね。多くの方は,状況からくる感情や反応には思い込みはないと感じていると思います(心理学でいうオートパイロット)。ですが,それも“思い込み”で,なんらかの感情や反応には,必ずその人のbelief,perceptionが存在します。日本人は,感情認知やperceptionの確認が本当に苦手なようです。欧米では,感情認知の訓練を義務教育で行うようですね。
そこで,レジリエンス基礎セミナーにこのABCDEモデルを使った感情認知と思い込みに対する反論のワークをすると,思いのほか好評でした。特に,思い込みを論理的合理的に反論するプロセスにおいて,思い込みや状況を論理的に分析・思考し,さまざまな肯定的な可能性を見出して反論する過程は,営業マンが,売り上げ目標達成が困難な状況に陥っても,ロジカルシンキングによって現状を打開し,課題を解決する多くの選択肢(オプション)を発見するトレーニングにもなるし,顧客を論理的に納得させるクロージングのトレーニングにもなると,受講された営業担当者の方々から教えていただきました。
レジリエンス・トレーニングは,営業マンがセールススキルを向上させるにも有効なことが実感できました。

2015.3.20

営業マンとレジリエンスーレジリエンス・トレーニングの有効性①

先日のレジリエンス基礎セミナーには,某ビジネス書籍出版社の営業担当者の方が出席されました。アンケートを拝読すると,その営業担当者としての最大の悩みは,自分自身の売り上げ目標達成と,部下の目標達成だとのことでした。多くの営業マンも同じような悩みを抱えているようですね。
セミナーでは,レジリエンス・トレーニングを一部体験していただくため,ネガティブ感情を発生させる“思い込み”を処理するワークをしたのですが,それが好評だったようですね。目標達成を日頃から口やかましく言う上司に対する思い込みに対応したり,あるいは,目標達成に悩む部下のネガティブな反応や行動の原因となる思い込みを手なづけたりする方法が学べて,参考になったとの意見をいただきました。嬉しい意見ですね。
すべてのネガティブな感情や反応は,逆境や困難な状況に対する思い込み(perception)によって生じます。その思い込みを上手く処理すれば,ネガティブ感情や反応を解消させることができます。レジリエンス・トレーニングでは,まず,このようなネガティブ感情の解消・脱出と,ネガティブ感情を生じさせる思い込みを処理することから始まります。