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2015.3.17

ヒトがヒトを殺める理由‐レジリエンスが弱まり,コントロールを失うとき

先日,福井県で痛ましくも不可解な殺人事件がありましたね。生態学者が教え子を殺めてしまうという。推定無罪が原則なので,自白した(と報じられている)とは言え,刑が確定していない段階で軽々しく件の准教授を犯人扱いしてはいけませんが,事実ならば残念でならないですね。絶滅危惧種を保護し,生物多様性を維持する研究をしていた生態学者が,よりによって最も身近な生命を奪ったのですから。

政策大学院大学の副学長で行動生態学者の長谷川真理子教授は,男性の殺人について,進化心理学的,行動生態学的にユニークな持論を展開しています。いわく,男性が他の男性を殺人する動機は,生物的な配偶者獲得競争が根底にある自己顕示欲の現れとか。そのベースには,「種の起源」で有名な,かのチャールズ・ダーウィンが唱えている「性淘汰の理論」があります。詳しく書くと長くなるので書きません。
男性が男性を殺す動機の1位は,金銭面のトラブルでも,嫉妬でもなく,第三者から見ればくだらない「自己のメンツを守る」ということ。それは配偶者獲得競争においての自己顕示欲,自己評価の表れだと長谷川真理子氏は論じています。また,男性が女性を殺す理由としては「性的嫉妬」が多く,自分が愛しているのに自分を捨ててしまった女性を殺すケースが非常に多いと言及した上で,それは,雄の雌への配偶者防衛の表れだと書いています。
男性が女性にストーカー行為をくり返したり,夫が妻にDVを行ったりするのも,生物学的な配偶者防衛行動のコントロールを逸脱したものだと長谷川氏は言っています。本能が理性をコントロールできなくなったのでしょうね。

今回の事件の動機は,皆目見当がつきませんが,冷静な判断力を失って,感情のコントロールができなかったことは容易に想像できます。レジリエンスが相当弱まっていたのでしょうね。断定はできませんが…。
今回のブログは,長々と生物の教科書のような退屈な文章を書いてしまいました。それだけ私にとって,今回の事件はショックだったのです。

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