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2015.7.31

14億と40億-極めてレジリエンスの強い2人経営者

今日は2人の尊敬する経営者でレジリエントと,それぞれが著したご著書を紹介します。

お一人目は,経営コンサルタントで名古屋商科大学大学院(ビジネススクール)の教授である望月広愛先生。

さまざまな経緯があって岐阜のイタリアンレストランチェーンの経営を社長として任され,14億円の借金を個人保証しながら,Ⅴ字回復させ,その会社を日本経営品質賞受賞まで導いた傑物です。

このように書くと,いとも簡単にⅤ字回復を果たせたように思わせますが,その間の5~6年間は想像を絶する艱難辛苦,試練や逆境を乗り越えてⅤ字回復を実現しました。

Ⅴ字回復の過程は,是非,『「最良だから最強」な組織づくりの定石』(生産性出版 発行)をご一読くださいませ。
「最良だから最強」な組織づくりの定石

もうお二人目は,元国内の某ビール会社のエリートビジネスマンで現在は神奈川の飲食業の経営者である湯澤剛さん。

突如,ご尊父の急逝に際し,事業を引き継ぎ40億円の借金を背負った経営者。返済するのに80年かかると銀行から宣言されながら,わずか16年で完済し,事業を継続的に成長させている社長。

この方の借金を完済するまでのストーリーは,筆舌に尽くし難く,私がその方の立場に立っていたならば,おそらく心が折れて破局的な選択をしたことでしょう。

湯澤さんの賞賛すべきストーリーの詳細はネタバレするのであえて言述しません。詳しくお知りになりたい方は,『ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる。』(PHP研究所 発行)をお読みになってください。
ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる。

お二人の経営者に共通するものは,極めて強いレジリエンス,インテリジェンス(知性),パッション(情熱),勇気,感謝の気持ち。お二人のご著書を拝読すると,その共通点がよく理解できます。

MBA時代の恩師から,かつて経営者に必要なマインドはインテリジェンスとパッションだと教えられました。

passionは,ふつう「情熱」と和訳されますが,「受難」という意味もあります。つまり,ありとあらゆる自社の起業を取り巻く「受難」を敢えて受け入れる覚悟も,「受難」を甘受する気概も経営者の必須な要素だということだと判断しています。

14億と40億の借金という「受難」を受け入れる覚悟,そんな気概を持っている方はそうそういらっしゃらない。お二人は「受難」というpassionも甘受し,「情熱」というpassionも多く持つ,極めて強いレジリエンスを持つ稀有な方です。

そんなことを考えていると,ビクトール・フランクルのある言葉を思い出しました。私の大好きな言葉です。

What is to give light must endure burning.
輝きを与えるものは,自らの熱傷に耐えなければならない。

passoion「情熱」を与えるものは,自らのpassion「受難」に耐えなければならない。まさにそれが真の経営者だと感じます。

お二人の最新のご著書を拝読すると,勇気が湧きだすと同時に,自分も駆け出しの経営者としてまだまだ頑張らなければなあという気持ちが湧きます。

本日のお昼,3年ぶりに望月先生とお会いし,エネルギーとpassionを分けていただきました。

明日は,湯澤さんと再会する予定です。passionを分けていただきたく楽しみにしています。

ちなみに湯澤さんは,MBAホルダーであり,レジリエンス講師でもあります。日本でMBAとレジエンス講師の2つを有している人は,湯澤さんと私だけです(←プチ自慢)

おあとがよろしいようで…

2015.7.26

柔らかい眼差しに包まれた部屋-latourとアイクロックとコロッケ

昨日は,MBAの後輩の新築祝いに招かれ,楽しい時間を過ごすことができました。

新築祝いと思いきや,ホストである後輩は,私の起業祝いとして会を企画したようで,私の大好きなシャトー・ラトゥールを準備して,抜栓してくれました。

とても恐縮し,とても感激し,とても感謝いたしました。感謝の嵐。

リビングで,MBAの後輩と,彼の美しい奥様,MBAの先輩で私と同じワインエキスパートを持っている友人4名と,シャンパン,コルトンシャルルマーニュ(ブルゴーニュ・白),ムルソー・ルージュ(ブルゴーニュ・赤),そしてシャトー・ラトゥール(ボルドー・赤)を飲み明かしました。奥様の美味しい手料理を酒肴にして。友人が持参したコロッケもいただきました。私は,ラトゥールとコロッケが大好きなので,嬉々としてパーティーを楽しみました。

宴の前に後輩の自慢の書斎を見せていただきました。まさに男の隠れ家的な空間を創っていて,遊び心溢れる出入口を創っていて,興味深かったですね。イノベーティブな雰囲気を醸し出すうらやましい部屋でした。

リビングで気づいたのが掛け時計。

なんと私のリビングにも掛けているジョージ・ネルソンデザインのアイクロックが掛けてありました。芸術性が高いというか趣味が合うというか審美眼が共通しているというか,妙に心地よい空間と感じたのは,アイクロックに温かく見守られてワインを飲んでいたからかもしれません。
井崎家アイクロック
■後輩の新居を飾るアイクロック■
松岡家アイクロック
■我が家のアイクロック■

眼が象徴するものは,深い洞察,人間を見る温かい眼・眼差し,そして明るい未来を映すビジョン。いずれもレジリエンス・トレーニングをはじめとした人材育成に不可欠な要素ですよね。

アイクロックの柔らかい眼差しに包まれながら,ポジティビティ溢れる人々と楽しい時間を過ごすことができました。幸福度も安高まり,レジリエンスも強化されました。

明日からまた仕事に邁進できそうです。その前に今宵は,大御所の広島大学名誉教授と神戸大学教授との宴。レジリエンスが試されそう…(笑)(泣)。

2015.7.22

レガシーという強み-ポジティブ心理学者とのコーチングセッション

7月18日~20日の3日間,ポジティブ心理学会のインディ・ジョーンズこと,ロバート・ビスワス・ディナー博士が講師をされた「ポジティブ心理学コーチング課程」のワークショップに参加しました。非常に濃密で有意義なワークショップで,ますますポジティブ心理学にのめりこんでしまいそうな,充実した3日間でした。

2日目の午後,強み発見アセスメントの1つである,「Realise2」の結果をアジェンダにしたコーチングをロバートから受けました。貴重な体験でしたね。

Realise2の結果,私には,7つの活用している強みがあったのですが,その中の1つがどうにも腑に落ちない,よくわからないものがあって,それを取り上げてのセッションもありました。

その強みがレガシーです。

レガシーについて,診断結果には次のように説明されています。

「あなたは次世代のことを真剣に考え、長く受け継がれるような遺産(レガシー)を築きたいと思っています。変化を起こすような、そして周囲によい影響をもたらすような遺産を築くために、努力することが大好きなのです。自分が大切にしていることが、自分が亡き後も継承されて、よい影響を及ぼし続けていくことが、あなたにとってはとても大切なことなのです。」

『自分のミッションやビジョンが実現できるように精一杯頑張っているけど,自分が死んだあとのことまではさすがに考えていなかった。それが強みとも認識していなかった』と話すと,ロバートは,深くえぐるような質問をいくつかしたのち,

『あなたは,今日の午前のセッションのときから,素晴らしいミッションをもっていらっしゃる。私もインスパイアされるほど。そのような素晴らしいミッションを後世にまで残したいと感じている気持ちがこの診断結果に表れているのではないですか?』と,内面をすべて見透かされたような,どでかい澄んだ目で射すくめられ,言葉を交わされると,自分には,レガシーという強みがあると納得しました。

自分のミッションは,「レジリエンスの強い人々,ポジティビティ溢れる繁栄型組織を育て,双方の持続的成長にコミットする」こと。そして「数多くの幸福な人々と組織を創る」こと。これらのミッションが後世まで継続するよう邁進していこうと改めてコミットしたひとときでした。また,レガシーを築きたいという気持ちこそが自分の強みなんだと認識した瞬間でもありました。

そうだよな。せっかくたった1回だけの人生を生きているんだから,何か後世に役立つ足跡を残さなきゃ。

それにしてもロバート恐るべし。いや,本当に素晴らしいポジティブ心理学者であり,ポジティブ心理学コーチ。最大の敬意を表します。
ロバートと私

2015.7.17

ポジティビティがイノベーションを生む事実‐マリス博士とPCR法

今日は,台風のため室内で鬱々としているので,気分転換に,愛がイノベーションを創造するといった話を書きます。

皆さんは,最近,DNA型鑑定やゲノム解析など,遺伝子を解析する技術のことを普通に知っていらっしゃると思います。ですが,そのような個人の遺伝子を解析する技術を可能にした画期的な技術をご存知でしょうか?

その技術は,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法といいます。一般にPCR法と呼びます。

PCR法は,目的となる遺伝子を高速で大量に増幅する方法です。詳細な解説は省きますが,この方法によって,飛躍的に分子生物学の研究やバイオテクノロジーが進歩しました。

この技術を開発したのは,キャリー・マリス博士。かなり風変わりな化学者ですが,PCR法の開発の業績によって,1993年にノーベル化学賞を受賞しました。

マリス氏がPCR法の着想を思いついたのは,当時交際していた女性と夜のドライブ中だったというエピソードはあまりにも有名で,一説によれば,彼女とキスしたときにポリメラーゼを用いてDNAを短時間に大量にコピーする方法を思いついたとか。

キスからどうやってPCR法を思いつくのか? 天才の頭の中身はどうなってつくられているのかさっぱりわかりませんが,要は,ポジティビティ(特に愛)は,世界をひっくり返すイノベーションを創出するという素晴らしい例ですよね。

マリス氏,実は日本国際賞も受賞し,来日されています。そのとき,美智子皇后様(当時は皇太子妃殿下)と会話され,そのときのエピソードも素晴らしいので紹介します。

美智子妃殿下がマリス氏と同席された女性を見て,「この方がPCR法を発見されたときの女性ですか?」と尋ねられました。

マリス氏は,「いえ違います。あのときの彼女とは別れました。」と答えました。

美智子妃殿下は,すかさず,「まあ,それでしたら,あなたはもう一度ノーベル賞をおとりになれますわね。」と返答されました。なんというウィットに富んだ返し。このエピソード,都市伝説という話もありますが,私は事実と思います。

以上,愛は凄まじいイノベーションを創造するというお話でした。これであなたも愛に溺れたくなったでしょう?

2015.7.14

一人を救うものは世界を救う‐レジリエンスもポジティビティも高まった三日間

先週末,10日~12日は,幕張と東京で2つの異なるセミナーに参加しました。どちらも私の今後のビジネスにおいて大事なセミナーでとても有意義な時間を過ごしました。

1つは全米ナンバーワンのマーケティングコンサルタントが講師を務めるマーケティング戦略セミナー,200名以上が参加した大規模なセミナーでした。もう1つはレジリエンス講師が実践例を共有しあい,ネクストステップを議論するセミナー。

趣の異なる2つのセミナーですが,共通点もあります。それは,いずれも「クライアントを幸福に導く方法を学ぶこと」。

マーケティング戦略セミナーの講師を務めた超大物カリスマコンサルタントのJ氏は,「クライアントとはコンサルタントが保護すべき存在」,「マーケティングとは顧客に恋をすること」という主張をされています。レジリエンス・トレーニングもそれに通じるところがあるかなと思います。クライアントに愛情を注ぎ,ポジティビティを高めなければ,クライアントのレジリエンスを強化することは難しいなあと感じます。

クライアントに愛情を注ぎ,感謝し,恋をするように保護する。それはマーケティングもレジリエンス・トレーニングも共通するのだろうなあと痛感した3日間でした。

マーケティング戦略セミナーでは,40歳前半のコンサルタント起業準備中の方と友人になり,レジリエンス講師のセミナーでは,定年間近の方でやはりコンサルタントとして独立を志望している方と友人になりました。前者の方には,起業直後の集客について尋ねられ,いまだ集客にもがいているなりにうまくいった戦術を説明すると参考になったようです。後者の方は,私が退職直後に独立起業したエピソードを披歴すると,勇気をいただいたとのお言葉を頂戴しました。起業して5か月足らずで大した経験はないのですが,そんな経験でもいろいろな人に少しでも刺激になり,貢献できることは嬉しいですね。

そんな感慨に耽っていると,映画「シンドラーのリスト」のとある言葉を思い出しました。

「一人を救うものは世界を救う。」
シンドラーのリスト

これはユダヤ教の聖典タルムードの言葉です。

一人のクライアントを愛し,感謝し,幸福に導くことは,まさしく世界を救うことにつながると大仰でなく思っています。

レジリエンスもポジティビティも高まった3日間を終え,可能な限り多くの方をレジリエントに導こうと決意を新たにした私でした。そうするには自分自身のレジリエンスをさらに強化し,学び続けないと…。