久しぶりのブログ。
先週は東京遠征で忙しく,心身ともに疲れ切ってしまったのでブログを書く気持ちが起こりませんでした。こんなことではいけないと思い,気持ちを引き締めてブログ更新の頻度を高めていこうと思います。
最近,商談などで,「ポジティブ心理学をベースにしたレジリエンス・トレーニングはポジティブシンキングと何が違うのですか?」という質問をよく受けます。また,「ポジティブシンキングの伝道師たる松岡さんが,○○さんのネガティブキャンペーンをはっている○○を支持するのはどういう訳なんですか?」といった質問も受けたことがあります。その都度,ポジティブ心理学とポジティブシンキングの違いを説明していますが,やはりまだまだ誤解される方が多いようですね。
ポジティブ心理学者は「ポジティブシンキング」という言葉が嫌い?
マーティン・セリグマンやバーバラ・フレデリクソン,イローナ・ボニウェルなど著名なポジティブ心理学者の著書を読むと,必ずといってよいほどポジティブ心理学とポジティブシンキングとの違いに言及している印象があります。これは,多くの一般の人々が持つ,「ポジティブ心理学って,ポジティブシンキングのことでしょ?」という偏見に対して,ポジティブ心理学者が悩まされている証左でしょう。正直,このような偏見・誤解には,ポジティブ心理学者は迷惑に思っているだろうし,「ポジティブシンキング」という言葉と,その言葉が発する“ネガティブなイメージ”とポジティブ心理学とを同視する誤解に対して,辟易としていると思います。
私もポジティブ心理学者と同感で,「株式会社ポジティビティが提供するサービスと,ポジティブシンキングとは同じでしょ?松岡さんはポジティブシンキングの伝道師なんでしょ?」と思われると本当に残念な気持ちになります。私の(そして弊社の)ミッションは,『レジリエンスの高い人々,ポジティビティ溢れる繁栄型組織を育て,双方の持続的成長にコミットする』ことですが,私はポジティブシンキングの伝道師ではないですから。
では,ポジティブ心理学とポジティブシンキングって何が違うのでしょうか?
私は,ざっくり,「科学的証拠(エビデンス)の有無」と,「ネガティビティの扱い方」の2つと考えています。
科学的証拠の有無
ポジティブ心理学は,1998年に提唱された心理学の新たな潮流ですので,れっきとしたサイエンスとしての心理学の一分野です。つまり科学なのです。ポジティブ心理学をベースにしたさまざまなワーク,心理テスト,アセスメント,トレーニングプログラムは,膨大な人と時間を費やして調査された実証データに基づいて開発されています。私どもが提供するレジリエンス・トレーニングプログラムも,ポジティブ心理学,レジリエンス研究,PTG研究,行動認知療法のエビデンスをベースにして開発されています。
一方,ポジティブシンキングとは,各々個人が,自分自身の経験や判断をもとに自分の(ポジティブな)価値観や信念を主張・提唱するものです。したがって,個々人の考え方ですので,ベースに根拠がある場合と単なる思い付きの場合があります。根拠がある場合も,個人の経験則の場合がほとんどで,科学的に実証された結果には及びません。
まとめますと,ポジティブ心理学は科学という学問で,ポジティブシンキングは根拠に乏しい個人の考え方と言い換えることができると思います。
ブログが長くなったので,もう1つの違い「ネガティビティの捉え方」の説明は,次回のブログに続けます。