最近、うちのカミサンがはまっているTVドラマがあります。「Dr.倫太郎」です。毎週水曜日は、2人で楽しく観ています。堺雅人さんは芸域の幅が広いですね~。私は倫太郎よりも古美門研介弁護士の方が好きですが。
このドラマで蒼井優さん演じる新橋の売れっ子芸者、夢乃を苦しめているのが「解離性同一性障害」という精神疾患です。解離性同一症が正式な名称とか。
先日、ビジネススクールの後輩で、現役の精神科医の友人と飲んでいたとき、「Dr.倫太郎」の話題を彼にふりました。日本では解離性同一症の症例は非常に少ないそうです。その友人も長く精神科医として患者と向き合っているが、解離性同一症の患者を診たことはないし、その友人の同僚の医師も、解離性同一症の患者を診た経験は非常に少ないそうです。催眠療法が盛んで、さまざまなタイプのストレスが多いアメリカで多い症例ですね。
解離を引き起こすストレス要因は、①学校や兄弟間のいじめ、②親が子供を強圧的に支配するような親子の人間関係、③ネグレクト、④家族や周囲からの児童虐待、⑤殺傷事件や交通事故などをまじかに見た強烈なショックや家族の死の5つあるそうです。アメリカの解離性同一症の要因で多いものは④の児童虐待で、日本の場合は、①の学校や兄弟間のいじめや②の親子の人間関係だそうです。「Dr.倫太郎」の夢乃が解離した要因は、②と③のネグレクトでしょうか?
解離性同一症は、5つのストレス要因が引き金となりますが、もともと心に解離する傾向をもつ児童が発症しやすいそうです。その資質は、「解離の資質」といいます。
「解離の資質」は。「脆弱性(vulnerability)」と言い換えることができます。「脆弱性(vulnerability)」の反対の概念が「レジリエンス(resilience)」です。
解離性同一症の研究結果として興味深いのは、目に見える性格の特徴を「脆弱因子」と「レジリエンス因子」に分けると、「レジリンス因子」は「脆弱因子」のネガにはならないということです。「脆弱因子」があったとしても、それを超える十分な「レジリエンス因子」があれば、解離性同一症にはなりにくいし、PTSD(心的外傷後ストレス障害)もなりにくいという研究結果が出ています。「脆弱因子」の中には、信じやすい心や空想傾向も含まれていると思いますので、「脆弱因子」をすべてなくすと、創造性にかける子供が出てくるような気がしますね。「脆弱因子」を少なくすることよりも、「レジリエンス因子」を思いっきり増やせばよいのです。「レジリエンス因子」には、「自尊感情」、「安定した愛着」、「ユーモアのセンス」、「楽観主義」、「支持的な人がそばにいてくれること」などが含まれます。
レジリエンスを強化することが、若年層でも重要だという証左ですね。
ところで精神科医の後輩に、「蒼井優さんのような綺麗な患者さんが来院して、恋に落ちることはあるの?」と質問すると、そんなことはないとの回答でした。そりゃそうでしょうね。後輩は倫理観の強いドクターだったのでした。