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2015.9.3

同調圧力に弱い私たち‐アッシュの実験からみるレジリエンスの重要性と必要性

秋の気配が漂ってきたのに,ブログの筆が進まない。夏バテが来ているのでしょうか?

先日,コーチング仲間との勉強会で,私が講師となり,チャルディーニの「影響力の武器」を共有しました。

「影響力の武器」に書かれている,人に影響を与える6つの原則(好意,返報性,一貫性とコミットメント,権威,希少性,社会的証明)は,心理学にとどまることなく,マーケティング(特にダイレクトレスポンスマーケティング)に広く活用されています。

勉強会に一人遅れて来られる方がいると聞いた私は,社会的証明のエビデンスとして,有名な「アッシュの同調実験」を行いました。これは,ある1つの線と同じ長さの線を,3つの異なる線から選ぶという心理実験なのですが,複数の参加者のうち,1人の被験者以外はすべていわゆる「サクラ」で,3つの線のうち,あらかじめ明らかに誤った回答をするように申し合わせています。
遅れて来られた被験者が入場すると,おもむろに「ある種の知覚実験です。」と私が言って,試験が始まり,被験者以外のサクラ(今回は6名)が次々と誤った答えを回答し,最後に被験者に回答を求めて,同調して誤った答えを言うか,それとも同調することなく,毅然と正しい答えを言うかを調べる実験です。
アッシュの同調実験

結果,狙い通り,被験者の方は,同調して誤った答えを回答されました(被験者の方,誠に申し訳ございません)。

この実験から,人は,正しい見解を持っていても,集団内の意見がそれとは違うと,そちらの意見に追従してしまいやすいという傾向を示しています。「社会的証明」が如何に人の行動に影響を及ぼすかがわかりますね。

日本人は,他の民族に比べ,特に「社会的証明」に影響されやすい国民性をもっていると言われています。物事を冷静に思考することなく(思考停止状態で),大多数のメディアや伝聞情報に影響を受け,意思決定する人が如何に多いことか…。

レジリエンスの強い人は,状況を冷静に論理的に客観的に把握し,感情や行動をコントロールすることができますので,「社会的証明」の同調圧力にさほど影響を受けることなく,判断をすることができます。できるはずなんです。

同調圧力の程度は社会の鏡で,今の日本は,かなり同調圧力が強くなっているとどこかのメディアで紹介されていました(これも情報操作だったりして…)。いずれにしても,現代は,個人のレベルでも組織レベルでもレジリエンスの重要性と必要性が高まってきているということなのでしょう。

アッシュの同調実験からは,別の示唆も得ることができます。集団内の特定の一人(多くはリーダーシップをとる人)が,属する(または率いる)集団内の多数者の意見が変わったと判断すれば,前言を撤回し,あたかも前言なんてなかったかのようにふるまい,平然と真逆の主張をするという示唆です。

あれっ?? この構図,最近,どこかの主要都市の首長(かつとある政党の党首)が繰り出す言動を想起させるような…

皆様も「社会的証明」の悪用の罠にはまらないよう,レジリエンスを鍛えていきましょう。

社員の心を鍛える技術!レジ離縁巣を教えます

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