会社概要

2020.11.3

笠智衆とさびしんぼうが生き抜く街にアンガーはそぐわない

皆様、こんにちは。

レジリエンストレーナー、
ポジティブ心理学コーチ
iEP認定シニアMBAエグゼクティブコーチ®の
松岡孝敬です。

いつもブログをご愛読いただき、
誠にありがとうございます。

11月に入り、秋が一層深まってきました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

先日、Facebookのプロフィール写真を
更新した際、
多くの方々にLikeボタンを押して
いただき、誠にありがとうございます。

今回は、尾道を訪れたときのお話。

以前から行きたかったシネマ尾道で
映画を観るため、
先日、尾道を訪れ、
「マーティン・エデン」
という映画を観ました。

シネマ尾道と、支配人、河本清順さんの
ことは、以前のブログで紹介しましたね。
松岡のブログ 「人生は仕方がない」

広島市内から普通列車に乗り、
のんびりと尾道を訪れるのは、
30年前、平日に友人と遊びに来て以来で、
懐かしかったですね。

当時は、映画のロケ地マップを
求めに入った商店街の喫茶店で、
偶然、ロケハンに来ていた
大林宣彦監督に出会い、
友人と2人で興奮したことを
覚えています。
(正直、大林監督のそっくりさん
かと思ってしまいました)

30年ぶりに尾道駅に着き、
映画の上映前に商店街と、
それに続く尾道本通りを散策すると、
昔ながらの蒲鉾店などのお店が
軒を連ねる一方で、
やたらと尾道ラーメンの店が
多いなあと感じました。

その日は日曜日で行楽日和でもあり、
商店街を通る観光客は多かったですが、
尾道ラーメン店の必要以上と思える
多さと、ラーメンを待つ行列を見て、
街の活性化を喜ばしく思うとともに、
昔の尾道の光景が薄れてきているような
寂しさを覚えました。

上映時間までにシネマ尾道に戻ると、
そこは、予想を裏切らない、
昭和の香りのする映画館で、
高校時代や大学時代に通い詰めた
映画館に再び訪れたような
ノスタルジックな思いがよみがえります。

映画鑑賞後、少し足を伸ばし、
大林監督の「さびしんぼう」を始め、
尾道三部作の舞台となった、
千光寺通り界隈や、

小津安二郎監督の「東京物語」で、
笠智衆さんと原節子さんが会話を交わした、
海岸通りを歩いてみました。

そこには、今でも映画に映された
懐かしい風景が存在していました。
さびしんぼうが
寺の階段を駆け下りてくるような、
瀬戸内海を眺めながら、
亡くなった最愛の人との
別れを惜しんでいる、
原節子さんと笠智衆さんが
佇んでいるような、
そんな錯覚を感じる雰囲気が
残っていました。

つい先だって、
新型コロナウイルスの影響により、
事業継続が困難となり、
JR尾道駅の全テナントが
来年2月末に撤退するという
ニュースが報じられましたが、
尾道ラーメンの乱立という
機を敏感に察知する新規性と、
昔ながらの商店と、
寂寥感がありつつ心穏やかな
雰囲気が残る尾道は、
強いレジリエンスが感じられ、
これからも繁栄し続けるのではないかと
思われます。

このような平穏で美しい街にある、
厳しい状況下でも、
商売を継続しようと
頑張っている地元の飲食店を舞台に、
街に似つかわしくない、
ちょっとした騒ぎが
昨今、起こっているようです。

それは日本でもトップクラスで
ネットでの影響力、情報発信力の高い、
元ITベンチャー起業家で、
今はタレントのH氏が、
その飲食店を訪れたのちに
FacebookなどのSNSを介して
発した情報が発端となっています。

事の顛末はどうあれ、
知名度が極めて高い、
影響力のある人物の
発したことがきっかけで
地方の一飲食店が
存続の危機、苦境に
立たされているのは事実です。

笠智衆やさびしんぼうが
未だ生き抜く美しい街に、
怒りの連鎖を断ち切れない、
感情のコントロールのできない
わがままで、こちマイの人は、
そぐわない、相応しくありません。

そんな人は、先日、
東京湾岸署の前で見せた
若手人気俳優のさわやかな潔さを
見習って、
飲食店に潔い気持ちを示し、
和解されればよいかなあと思います。

そのような影響力のある方が
潔さを見せないような高慢な態度を
今後も取り続けると、
その人の著した数多の著書の中でも、
唯一と言っても良いくらいの
ベストセラー、「刑務所なう。」
の続編を書いてしまう事態に
なりかねないじゃないでしょうか?

いかん!
自分のアンガーをコントロールできない。
マインドフルネスして、
レジリエンスを強化しなければ…

ポジティビティ主催の個人向けセミナー・講座ご案内ページ

2020.10.12

人生は仕方がない

皆様、こんにちは。

レジリエンストレーナー、
ポジティブ心理学コーチ
iEP認定シニアMBAエグゼクティブコーチ®の
松岡孝敬です。

いつもブログをご愛読いただき、
誠にありがとうございます。

朝夕、めっきり涼しくなり、
日々秋が深まりゆくこの頃、
皆様、いかがお過ごしでしょうか?

今日は、とあるミニシアターのお話。

先日、何の気なしに、
めったに見ない時間帯で、
めったに見ないテレビ、
セブンルールを見ていると、
広島県尾道市にあるミニシアター、
シネマ尾道の支配人、
河本清順さんのセブンルールが
放映されていました。

尾道市は、小津安二郎監督の東京物語や、
大林宣彦監督の尾道三部作の舞台となったので、
映画の街としてご存じの方も多いかと思いますが、
2001年、映画館が全て閉館し、ゼロとなりました。

シネマ尾道は、映画の街、尾道で
生まれ育った河本清順さんが中心となり、
苦労して復活させたミニシアターです。

シネマ尾道のホームページ

私は、シネコンよりもミニシアターで
映画を観るのが好きなので、
今度、良い作品が上映されていれば、
訪れてみようと思います。

番組では、河本清順さんの
セブンルールが紹介されていて、
7番目のルールが印象に残りましたね。

そのルール7とは、
挫けそうなときはゴダールの台詞を思い出す
でした。

ジャン=リュック・ゴダール監督の
「女と男のいる舗道」という映画で、
アンナ・カリーナ演じる主人公の
ナナが言うセリフ、
人生は仕方がない
を、辛くてくじけそうなときに思い出すそうです。

河本さん曰く、
『明るい意味の『仕方がない』という言葉で、
壁にぶち当たったときとかは気持ちが
スッとするんですよね。』

この「人生は仕方がない」という言葉の意味は、
人生を思い通りにいかないと諦観する
気持ちを表しているものではなく、
むしろ、
人生には個人のコントロールできないことが
起こり、それはどうしようもないことなので、
あれこれ考えても仕方がなく、
自分の今できることを精一杯最善を尽くそう

という肯定的な意味ととらえられます。
少なくとも、私は、そうとらえています。

「仕方がない」と同じ言葉に、
是非もない」、「是非に及ばず」があり、
この言葉は、織田信長が本能寺の変において、
最後に語った言葉とされています。
「信長公記」にも記されています。

信長が極限で放った「是非に及ばず」も、
河本清順さんの好きな「人生は仕方がない」
と同様に、現状を憂いてあきらめる言葉では
決してなく、
「善悪の判断を今している場合ではない。
戦うしかない」という、
強い肯定的な意味合いが込められています。

挫折しそうな逆境に置かれても、
本能寺の変のような絶体絶命の状況においても、
今、この状況をマインドフルネスにとらえ、
できることとできないことを見極め、
今、自分ができ得る最善の行動をしようという、
レジリエンスな意味合いが、
「仕方がない」、「是非に及ばず」には、
込められているのですね。

ゴダールの「女と男のいる舗道」
私も昔、観たことがありますが、
主人公ナナのセリフ、「人生は仕方がない」は、
私の記憶が確かならば、
C’est la vie」(セラヴィ、これが人生よ
だったと思います。
「C’est la vie」を「人生は仕方がない」
を訳すあたり、翻訳者の高いセンスを感じられ、
素晴らしいですよね。

今放映されているNHK大河ドラマ、
「麒麟がくる」のクライマックスは、
本能寺の変になることでしょう。

織田信長は、当時、
海外の流行りものを日本でいち早く
取り入れていたハイカラな武将で、
イノベーターでした。

織田信長に扮する染谷将太さんは、
光秀に攻められた本能寺で言ってくれるはずです。
C’est la vie」と。

ポジティビティ主催の個人向けセミナー・講座ご案内ページ

2020.8.24

サリーは楽観主義者

皆様、こんにちは。

レジリエンストレーナー、
ポジティブ心理学コーチ、
iEP認定シニアMBAエグゼクティブコーチ®の
松岡孝敬です。

毎日、殺人的な猛暑が続いていますが、
皆様、いかがお過ごしでしょうか?

くれぐれも熱中症にならないように
お身体ご自愛くださいませ。

COVID-19の感染拡大第2波の勢いも、
ようやく衰え、ピークを迎えたようですね。
先日、テレビの報道番組を見ていたら、
元厚労省医務官の木村盛世さんのインタビューが
流れてて興味深かったですね。

この人のCOVID-19に対する見解は、
私とほぼ同じで、
「最終的に新型インフルエンザより致死率が低くなるであろうと
想定される感染症に対して、
社会経済活動を止める合理的な理由が見つからない。」
「新型コロナは大化け物という誤った印象を
払拭しなければならない」
といったものでした。

『新型コロナ“特別視”は無用!』(木村盛世さんの記事)

テレビは、COVID-19の恐怖を必要以上に
増大させる偏向報道ばかりだったのですが、
少し報道の潮目が変わってきたのかもしれません。

4-6月のGDP-27.8%が衝撃的だったのでしょうか?

木村盛世さんの見解については、いずれ
ブログに取り上げるとして、
今回は、サリーのお話。

といっても、「魔法使いサリー」では、
ありません(古い!)

2009年1月15日、ニューヨークのハドソン川で
奇跡の不時着氷を成功させ、乗員乗客155名の
生命を救ったサレンバーガー機長(愛称、サリー
のことです。

この奇跡のエピソードは、
クリント・イーストウッドが監督し、
トム・ハンクスがサリーを演じて
ハドソン川の奇跡」として映画化されています。

先日、BSで映画とこのエピソードの
ドキュメンタリーが放映されましたので、
改めて見ました。
何度見ても、これ以上の奇跡はないと思えるほど、
奇跡ですよね。

私はリーダーシップ研修で、この出来事を
良く取り上げますし、
ニューヨークも大好きな街ですし、
起こったときからこのエピソードには
心を打たれた記憶がありますので、
何度もこの映画を観ました。

映画は、エンターテインメントとしても面白く、
旅客機が離陸して40秒後に鳥の衝突(バードストライク)
により、2つのエンジン全てが停止し、
ハドソン川に不時着氷して155名全員が救助される
過程をできるだけ忠実に再現していますので、
リスクマネジメントのお手本としても
興味深く見ることができます。

サレンバーガー機長は、バードストライクしてから
わずか208秒で、冷静に状況を把握し、
マインドフルネスに今ここに集中して、
さまざまな可能性を考えた上で、
ラガーディア空港に引き返さず、
ティダーボロ空港に緊急着陸を選ばず、
ハドソン川への不時着氷を決断します。

レジリエンスの極めて強い人ですよね。

ドキュメンタリーを見ていると、
サレンバーガー機長は、とても興味深い
次のような言葉を話されていました。

「私はある信念を持っている。
それは、現実的な楽観主義であるべきだという事だ。」

ハドソン川の奇跡は、
サレンバーガー機長の現実的な楽観主義
(戦略的な楽観主義)から起こったのかもしれません。

戦略的な楽観主義(方略的な楽観主義)は、
過去のパフォーマンスを肯定的に認知し、
将来のパフォーマンスに対する期待が高いとらえ方です。
さまざまな局面で成功しやすいという調査結果が出ています。

日本人は、このような戦略的な楽観主義は
苦手としていて、日本人に多いパターンは、
過去のパフォーマンスを肯定的にとらえるが、
将来のパフォーマンスに対する期待が低いとらえ方です。
これは防衛的悲観主義と呼ばれます。

心理学者、ジェリー・ノレムの研究では、
防衛的悲観主義と戦略的な楽観主義とでは、
得られる成果に変わりないとの証拠が出ていますので、
防衛的悲観主義と言っても、悲観する必要はありません。

昨今の状況を翻り、
COVID-19の感染拡大を報じるメディアを考えると、
楽観的な視点を過剰に嫌い、
冷静な判断・行動をするための情報を意図的に報じず、
防衛的悲観主義にも至らない、
一般的な悲観主義(私は破滅的悲観主義と呼んでいます)
的なとらえ方を誘導する偏向報道にとても疑問に
思い、日本人をミスリードしている問題を感じています。

それは、政府、厚労省の現状分析にも原因があるように
思います。
それらが複雑に絡み合って要因となり、
4月-6月のGDP-27.8%という現状になっているのでしょう。

今の日本という国は、政府とメディアによって両エンジンが
停止した旅客機のようです。
乗客乗員の生命を守り、幸福を創出するために
冷静に軟着陸させ、エンジンを修復し、
再び飛翔させなければならないと思います。

奇跡がなかなか起こらないのは、日本に
サレンバーガー機長のようなレジエンスの高い
リーダーがいないからと常に考えています。

私たちは、レジリエンスの強い
マインドフルネスに冷静に状況判断し、
私たちを幸福に導くリーダーを
そろそろ選ばなければなりません。

そう。サリーのような。

「マハリクマハリタヤンバラヤンヤンヤン」
と呪文を唱えて全てを解決してくれるような。
(あれっ、間違えた? 楽観主義ですから、ご容赦を)

「実践コーチングメルマガ無料講座」(全7回)のご案内ページ

2016.2.12

楽観性は成功の必須要因‐内定者レジリエンス研修で気づいたこと

皆様、こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

先日,静岡の某企業で行いました内定者レジリエンス研修のアンケートが届きました。

受講いただいた内定者の方々が少なかったせいもあるのですが,全員の方から,

「とても満足している」との回答をいただき,とても嬉しく,安心しました。

4月から本格的に社会人になる前に,レジリエンス幸福度

かなり高まったかと自負しています。

受講者の一人の女性から,1つの気づきをいただきました。

彼女は,自分で楽観的な性格だと自覚していて,

それは,とてもネガティブなことだと思っていたそうです。

非現実的な楽観性は,ときとして無鉄砲な暴走を引き起こしますが,

現実的な楽観性は,成功の必須要因でレジリエンスも高まり,

幸福度を高める強みですよと伝えると,とても明るい顔をされて喜んでいました。

まるで,今まで楽観性を否定され続けたかのように。

これも日本の教育のせいなのか,

どうしても日本では楽観性を是としない風土があるのでしょうか?

すべからく物事を悲観的に否定的に捉えることが,

課題を抽出して解決に導く第一歩と考えているのか?

物事を楽観的に捉えると,「適当」だとか,「真剣に考えようとしない」とか,

「課題を直視していない」とか,そんな風に捉えて

楽観性をネガティブなものに考えるのでしょうかね~。

過去から現在に至るまで,破壊的なイノベーションを起こした人や,

革命を起こして成功した人は,総じてオプティミストなんですけどね~。

エジソンしかり,ジョブズしかり,カストロしかり。

楽観性の捉え方以上にショックだったのは,

ジェネレーションギャップを痛感させられたことです。

受講者はすべて20代前半の女性でした。女性が受講生のメインの研修の場合,

レジリエンスが強い人物として,ヘレンケラーの三重苦を克服させた家庭教師,

サリバン先生を取り上げるのですが,知らないのですね~。

最近の若い女性(←オジサンか)は,アン・サリバンを知らないのです。

「舞台や映画の『奇跡の人』って知らないの?」…知らんのです(泣)。

奇跡の人

「美内すずえさんの『ガラスの仮面』って少女漫画読んだことない?」

…読んだことないんです。

ガラスの仮面

では,身近でレジリエンスの強い人ってだれだろう?

挙げてみてくださいってお願いすると,

「ベッ〇〇」って,

今年に入って某ミュージシャンとのスキャンダルで最近テレビで見かけなくなった

人気女性タレントである方の名を挙げられました(;’∀’)

彼女が本当にレジリエンスが強いかどうか,今後の動向を見届けなければなりませんが,

次の研修では,レジリエンスの強い女性の事例を

いっそその「〇〇キー」さんに変えようかな?

研修を見守っていた女性課長が研修終了後,控室にて,

「松岡先生,私はサリバン先生もガラスの仮面も知っています。良く読んでいました。」

そりゃそうでしょ。私と同年代なんだから。

それからの時間は,その課長様のガラスの仮面トークやゴルフ談義を

しばし拝聴しました。

2015.12.17

親子で克服した逆境,その後のPTG-スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第6回

皆様,こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

今回のブログは,「スターウォーズ エピソード6 ジェダイの帰還」を題材に,スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第6弾をお送りします。今回がシリーズ最終回です。

エピソード6は,ジェダイの騎士となったルークとダースベイダーの宿命の対決と,銀河帝国皇帝との最終対決が描かれています。

ここでアナキン・スカイウォーカーとルーク・スカイウォーカーとの幼少期の環境を比較してみます。

アナキンは,なんとお父さんは存在せず,お母さんのシミ・スカイウォーカーが単独で妊娠し,出産した子供です。聖母マリアのような処女懐胎か,意図的にどこからかの受精卵をお母さんに移植したのか(代理母)? ファンの間ではいろいろな説があります(ミディ=クロリアンによる受胎説?)が,ともかく,幼少期,アナキンはシミという優しいお母さんのみに育てられました。シングルマザー家庭ですね。

お母さんは心優しい女性ですが,アナキンの置かれている環境は最悪で,まず銀河のならず者が集まる砂漠の惑星タトウィーンに生まれ,奴隷としてガラクタ市の商人でギャンブル好きのワトーの店で働かされます。それでも,ポッドレーサーの腕前は相当なものですし,機械修理の腕前も確かだったので,最悪の環境でも自分の技術と能力に自信をもって生きていたようですね。

一方のルークは,両親は不在ですが,水分抽出農場を営む叔父オーウェン,叔母ベルーのラーズ夫妻の元で育てられました。ラーズ夫妻は,ジェダイ時代のアナキンを知っているし,タスケンレイダーを虐殺したことも暗黒面に堕ちてダースベイダーになり果てたことも知っているので,ルークを愛情をもって育てつつ,アナキンのようにはならないようにして,ジェダイやフォースのことなどは知らせないように慎重に育てたのでしょうね。あまりネガティビティを感じさせない,優しい人間に。

自らは奴隷という身で父親もなく,周囲は邪悪な考えしかもっていないようなならず者ばかりの中で常に緊張して生き延びなければならないアナキン。かたや農場を営む平凡な夫妻のもとで,さほど緊張を強いられず育てられたルーク。

ソーシャルネットワークの深さとポジティブ感情の量は,当然,ルークの方が高いと思われます。幼少期の頃からダークサイドに陥りやすさからすれば,アナキンの方が高く,ルークは容易にダークサイドには陥らない要素が備わっているように感じます。

さて,エピソード6の最大の山場,ルークとダースベイダーの宿命の最終対決,親子対決に話を移します。

ルークとダースベイダー

ダースベイダーの元へ投降したルークは,ダースベイダーを「父さん」と呼び,敢えて対決せずに言葉で説得しようと試みます。それは父の心にまだ善の心が残っていることを信じていたからと,父であるダースベイダーを倒すと,自分さえも暗黒面に陥ってしまうと思ったからでしょう。

銀河帝国の暗黒皇帝と対峙したルークは,皇帝の罠によって反乱同盟軍が攻撃され窮地にさらされている場面を目の当たりにします。皇帝の巧みな話術にはまり,憎悪をもってライトセーバーを取り,皇帝に襲い掛かりますが,ダースベイダーに妨げられ,図らずも宿命の親子対決が始まります。

エピソード5では,ダースベイダーにまったく歯が立たなかったルークですが,今回の対決では互角の戦いを見せます。さらに,妹レーアの存在を悟られ,レーアさえも暗黒面に陥れようと考えたダースベイダーに対して,怒りをもって激しい攻撃を加え,ダースベイダーの腕を切り落としてしまいます。

いくらルークの腕が上がったとはいえ,銀河系最強のダースベイダーがあっけなく腕を切り落とされたのは,まず,ダースベイダーの善の心(ブライトサイド)が大きくなってダークサイドのパワーが発揮できなくなったことと,ルークがこの時点でダークサイドに堕ち掛け,そのパワーでダースベイダーを圧倒したからではないかと想像します。

ダースベイダーを倒し,ルークが怒りや憎悪といったネガティブ感情に包まれているのを好機とみた暗黒皇帝は,ルークにダースベイダーのとどめを刺し,自分の弟子になってダークサイドに来ることを誘います。でもルークは,毅然と拒みます。「自分はジェダイだ。かつて父がそうであったように」と。

このシーンは,エピソード3の冒頭で,パルパティーン議長(暗黒皇帝)に促されるまま,怒りをもってドゥークゥー伯爵を殺したアナキンと対照的ですね。アナキンはダークサイドに堕ちたが,ルークはジェダイとしてとどまった瞬間です。

その後,暗黒皇帝から攻撃を受け,みるみる衰弱していくルークは,ダースベイダーのブライトサイドを信じ,必死にベイダーの良心に叫びます。「助けて父さん」と。その姿を見て,ベイダーのかすかに残っていたブライトサイドが復活し,善の魂が蘇り,自分の生命維持装置が破壊されるのを顧みず,暗黒皇帝を反応炉に投げ入れ葬り去ります。ダースベイダーがジェダイに,アナキンに戻った瞬間ですね。同時にこれは,暗黒面の呪縛という逆境をアナキンが克服した瞬間でもあります。

ルークは,フォースというかポジティビティというか,自らの力によって,父の暗黒面の呪縛,親子の宿命,ジェダイの復活,フォースのバランスといったさまざまな逆境を克服したことになります。親子で逆境・試練を克服したというか…。これによって,ルークのジェダイの騎士としての修行,レジリエンス・トレーニングは完結します。

そして,アナキンとルークの親子は,互いにPTG(ポストトラウマテッィクグロース,逆境後の成長)を表し,映画はラストを迎えます。

アナキン最後

こうして改めてスターウォーズ全シリーズのストーリーをレジリエンス・トレーニングと重ね合わせて見直すと,結構よくできた人間ドラマですね。

明日から公開のエピソード7も楽しみにして鑑賞することにします。