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2015.12.16

自己効力感を高めたダゴバでの修行-スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第5回

皆様,こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

今回のブログは,「スターウォーズ エピソード5 帝国の逆襲」を題材に,スターウォーズとレジリエンス・トレーニングの第5弾をお送りします。

エピソード5は,ルークがダゴバ星に隠遁していたマスター・ヨーダの元を訪れ,本格的にジェダイの騎士になる修行を積み,また,ダースベイダーと初めて対決するストーリーが展開されます。

特に印象深い件は,ダゴバでの修行ですね。

ダコバのヨーダとルーク

最初,ヨーダは,ルークが年をとりすぎていることと,辛抱が足りないといった理由で,ジェダイになるためのトレーニングをルークに科すことを拒みます。(あれっ?確かお父さんのアナキンも同じような理由で最初ジェダイの訓練を拒まれたような…)

それでも,フォースの霊魂と化したオビ=ワンが説得し,ジェダイの騎士になるための厳しい修行が始まります。

ヨーダの修行は,小さな成功体験を積み重ねてフォースの正しい使い方を教えたり,自らがお手本となってフォースの使い方を見せたり,ジェダイの使命とは何かを諭してジェダイとなるべきムードを高めたり,「もうできない」とかすぐに諦めてしまう忍耐力の乏しいルークを,独特の言動で励ましたりしています。

これは,レジリエンス・トレーニングでの自己効力感(自信)を高めるトレーニングに非常に通じるものがありますね。

心理学者のアルバート・バンデューラは,自己効力感を高める要因として,「1.成功体験」,「2.お手本(ロールモデル)」,「3.ムード」,「4.励まし」の4つがあると主張しています。

まさに,ヨーダの指導は,

1.成功体験⇒小さなフォースの成功体験の積み重ね
2.お手本⇒自らがフォースの偉大な力を示す。
3.ムード⇒ジェダイとしての使命を伝える。
4.励まし⇒ルークでもジェダイになれると激励する。

というように自己効力感を高める合理的な方法を実践しているように思えます。

最も印象深い修行は,洞窟での修行です。そこでは,ダースベイダーの幻影が待ち構えており,ルークはライトセーバーでダースベイダーを倒しますが,倒したダースベイダーの仮面が割れるとそこにはルーク自身の顔が表れるという…修行です。

この洞窟での修行は,2つの大事な要素を暗示しています。

1つは,暗黒面の怖さ。どのような有能なジェダイでも,憎しみや恐怖をもって戦いに望めば容易にダークサイドに堕ちてしまうという戒めをヨーダはルークに教えたのではないかと思います。やはり,ヨーダやオビ=ワンは,アナキンがダークサイドに堕ちてしまったことをかなりのトラウマと感じていることも伺えます。
2つめは,ダースベイダーを倒すことは,自らをも滅ぼしかねないという宿命を諭したのではないかと思います。ダースベイダーを倒すことができるのは,唯一のジェダイであるルークしかいない,しかし,ダースベイダーを倒すことは自分自身を滅ぼすことになるといった試練を教えたのではないかと感じます。最大の試練ですね。

この洞窟のシーンは,スターウォーズファンの間でも,解釈がさまざまで面白いですね。

ところで,エピソード5のルークとダースベイダーとの初対決のとき,ダースベイダーは,ルークを追い詰め,とどめを刺すことができたにもかかわらず,それを意図的にしなかったように思います。父である自分とともにダークサイドに寝返ることを確信していたからでしょうが,こういうところにも,今だダースベイダー(アナキン・スカイウォーカー)に善の心が残っていることがうかがえるかと思います。

2015.12.15

フォースという強みの発見-スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第4回

皆様,こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

今回のブログは,「スターウォーズ エピソード4 新たなる希望」を題材に,スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第4弾をお送りします。

スターウォーズ エピソード4 ルーク

エピソード4からは,アナキンの息子,ルーク・スカイウォーカーと,娘,レーア・オーガナ姫が登場し,反乱同盟軍としてシスの暗黒皇帝率いる銀河帝国軍と戦い始めるストーリーに入っていきます。

改めてエピソード4を観ると,ある疑問が浮かびます。

砂漠の惑星タトゥイーンに隠れていて,ルークの成長を見守っていたベン・ケノービ(オビ=ワン・ケノービ)は,なぜあんなに成長するまでフォースといったパワーの存在をルークに教えなかったのでしょうか?

アナキンの変わり果てようを見て,叔父のラーズがルークにフォースやジェダイといったことを悟られることを嫌っていたという理由もありますが,私は,別の理由があるように思います。

アナキンをダークサイドに陥らせたのは,アナキン自身のネガティブ感情をため込み,思い込みを解消できない習性があったものの,やはり自分の指導にも原因があったとオビ=ワンは思ったいたのでしょうね。自責の念を持っていたのではないかと思います。

そのため,アナキンの指導の過ちを繰り返さないように,銀河帝国軍やダースベイダーにルークの存在を隠すとともに,ルークの性質が,父アナキンのようにダークサイドに陥りやすい性質なのかどうかを慎重に見極めていたように思います。

ラーズ夫妻の温かい愛情に包まれて育ったルークは,レジリエンスが強く育てられ,ネガティブ感情をため込まない,ダークサイドに陥りにくい性質をもったのではないかと思います。それが確認でき,レーアからの助けを求めるメッセージをもらった今が良い機会ととらえ,オビ=ワンは,ルークに彼の父がかつて有能なジェダイの騎士で自分の弟子であることを伝えます。

さらに,ルークに,父アナキンが使っていたライトセーバーを渡します。まるで,父アナキンが達成できなかった「フォースにバランスをもたらす」というミッションの継承を促すように。

ルークは,オビ=ワンから強みスポッティングを受けるかのようにして,自分の人格としての強み(キャラクターストレングス)を発見することになります。フォースという強みはもちろんですが,「純真さ」,「勇気」,「誠実」といった強みです。そして,そのような強みを活用してレーア姫を救出する行動に誘います。

社会的支援というレジリエンス資源に恵まれたルークは,さらに自分のキャラクターストレングスを認識し,活用することで,さらにレジリエンスが高まっていきます。その良い流れはエピソード5,6でも続きますね。

ところで,エピソード4のダースベイダー(アナキン・スカイウォーカー)は,すっかりダークサイドに堕ち,ブライトサイドは全然見られないようですが,ターキン総督がしきりに処刑を命じているにもかかわらず,囚われの身になったレーアを理由はともあれ,すぐに処刑せずに生かしているのは,善人の一面の成せることではないかなと勝手に思っています。

2015.12.14

強みのオーバーユースが過ちを誘う-スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第3回

皆様,こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

今回のブログは,「スターウォーズ エピソード3 シスの復讐」を題材に,スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第3弾のブログをお送りします。

エピソード3は,アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに堕ちてしまう過程と,銀河共和国がシスの暗黒卿に乗っ取られ,民主主義を捨てて帝国主義化して銀河帝国となってしまう出来事が主要なテーマとなっています。非常に民衆から支持を集めていて人気も高く,人望もあったパルパティーン議長がいつの間にか独裁者となり,共和国が全体主義の帝国になり果ててしまうという,第二次大戦中の,ビールの美味しいとあるヨーロッパの国の出来事を想起させるエピソードですね。現代社会でも大小さまざまなところでこの現象に近いレジームチェンジは見られますが…。

エピソード3

話は代わり,皆さんは,アナキン・スカイウォーカーの強みは何だと思われますか?

そりゃ当然,ずば抜けたフォースと銀河系最強とうたわれたライトセーバーの腕前だろうと思われると思います。

それも強みですが,能力やスキルのレベルの強みではなく,「人格としての強み(キャラクターストレングス)」は何だと思われますでしょうか?

私見ですが,私はアナキンのキャラクターストレングスには,「愛情」,「勇敢さ」,「誠実さ」が感じられます。この強みは,ダースベイダーとなった後も持ち続けているように感じています。そのことについては,次回以降のブログで書きたいと思います(書かないかもしれません)。

特に「愛情」という強みはかなり強いと思います。エピソード1と2でみせた母への強い愛,エピソード2と3でみせたアミダラに対する愛情がそう感じさせます。

アナキンは,ジェダイの騎士としての仕事で,3つの強みを活用していますが,こと「愛情」に関しては,重要な場面で適切に活用されておらず,オーバーユースしてしまい,自分の強みである「愛情」に感情が振り回されてしまいます。エピソード2でのタスケンレイダーの大虐殺も,母への愛情のオーバーユースから,タスケンへの憎悪がコントロール不能になり,起こした悲劇と思われます。

エピソード3も,アナキンの「愛情」のオーバーユースがみられます。これが基軸となって展開された映画といってもよいかもしれません。

アミダラに不幸が起こるとの予知夢を観たアナキンは,母と同じ二の舞を踏ませまいとフォースよりもより強いパワーを求めるようになります。それが端緒となり,パルパティーン議長のダークサイドのパワーに惹かれていき,パルパティーン議長の言うがままにジェダイを敵視し,裏切り,やがてシスの暗黒卿の弟子となり,ともに銀河系を帝国主義で支配することになります。

銀河系一のフォースの持ち主が,自分の強みをオーバーユースし,自分の能力を過信し,思い込みを適切に処理できないでいると,道を誤り,銀河系を巻き込む悲劇が起こるのですね。思えば,有史以来の紛争・戦争も,人間同士のちょっとした感情の食い違いなどで起こる場合も多いように思います。人間関係力やコミュニケーションが如何に大事かわかりますね。

ダークサイドに陥り,変わり果てたアナキンに会ったアミダラは,未来を絶望しつつも,アナキンの心にまだ残るブライトサイドに微かな希望を見出します。そして生まれてくるアナキンとの間にできた双子とオビ=ワンに微かな希望を託し,自らは絶命します。

パドメの出産

オビ=ワンをはじめとした善意の人々が社会的支援となって,アナキンとアミダラの子ども(ルークとレーア)は,希望に満ちて大事に育てられます。このようにして育てられた子どもはレジリエンスは相当高いでしょうね。エピソード4のサブタイトルは,この2人のことを指していると勝手に考えています。

2015.12.13

ジェダイでも思い込みの処理は難しい-スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第2回

皆様,こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

今回は,「スターウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」を題材にして,ブログを更新します。

タイトルは,「ジェダイでも思い込みの処理は難しい」です。

「エピソード2 クローンの攻撃」のストーリーは,ジェダイマスターのオビ=ワン・ケノービのもとで修業を積む才能あふれる若きアナキン・スカイウォーカーの内面の葛藤と苦悩,アミダラとの禁断の愛を描き,銀河共和国が次第に分離主義勢力との戦争に突入する件を描いた映画です。

映画の冒頭から,オビワンとアナキンとの確執が丁寧に描かれており,アナキンは,オビワンを師として尊敬しつつも,「自分のことを正当に評価していない」,「自分を一人前のジェダイにしないのは,オビワンが自分の才能に嫉妬しているからだ。」
といった“思い込み”を抱いているように感じられます。そのような思い込みがあるからこそ,オビワンやジェダイ評議会に対して,不満,憤懣,軽い憎悪,欺瞞といったネガティブ感情をアナキンは抱いています。

マスターヨーダ,マスターウィンドウ,オビ=ワンの三人の会話の中で,「アナキンのずば抜けた才能・技能が彼を傲慢(arrogant)にしている。」というセリフが出てきますが,実際はアナキンが抱くような“思い込み”は役に立たないもので,ジェダイ評議会やオビワンは,彼の傲慢さを今の段階で戒めないといずれ大変なことが起こることに気づいていたのでしょう。フォースの力は素晴らしい!

そのような“思い込み”を把握できず,処理できないまま過ごしていたせいか,アナキンは,おかしな行動を起こしてしまいます。ジェダイ評議会とは異なり自分を高く評価するパルパティーン議長に惹かれていったり,ジェダイに奨励されている“無償の愛”とは異なり特定の人への愛に走ったり…

エピソード2

極めつけは,実母を誘拐し,殺害したタスケンレイダー部族への大虐殺ですね。憎悪というネガティブ感情をコントロールできず,さまざまな思い込みによる憤懣もないまぜになっての暴挙で,あのようなことをするともうジェダイではありません。あの時点で,ダークサイドの萌芽が生じていたのでしょうね。

思い込みの処理は,才能豊かな,極めて強いフォースをもつジェダイでも難しいということでしょうね。いわんやフォースが弱い一般人にとってはなおさらでしょう。ただし,この思い込みの処理を上手くできれば,レジリエンスもフォースも高まります。

思い込みの処理がうまく機能しないことは,「思考停止」につながります。人間は,「思考停止」すると,思い込みを解消するような,わかりやすくてエモーショナルな主義主張を唱える独裁者に惹かれる傾向に陥ります。アナキンがパルパティーンに惹かれていったように…。

まあ,「思考停止」して愛に溺れていくことは,ダークサイドに惹かれるよりは良いと思いますが…。

2015.12.12

希少性はフォースを鈍らせる-スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第1回

皆様,こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

いよいよ映画「スターウォーズ 第7話 フォースの覚醒」の公開が迫ってきました。12月18日が待ち遠しいですね。

このブログは,スターウォーズ最新作の公開を記念して,6回シリーズでスターウォーズとレジリエンス・トレーニングとの不思議な相関性をつらつらと綴ってみようと思います。

スターウォーズの物語は,ブライトサイドにいたジェダイ(アナキン含め,ドゥークゥー伯爵など)が,シスの暗黒卿の巧みな術によってダークサイドに陥ったり,ダークサイドに陥っていたダース・ベイダーが,最後にブライトサイドに翻ったりと,ポジティブ心理学コーチングの過程に極めて通じるようなところがあり,興味深いですね。どんな善人も段階を追って暗黒面に陥ることもあり,どんな悪人でも良いコーチングをすればブライトサイドに戻るという,陰陽道にも通じる要素があるストーリーが展開されているように思います。

第1回は,「スターウォーズ エピソード1 ファントムメナス」を題材にして,『希少性はフォースを鈍らせる』を記します。

エピソード1は,「ファントムメナス(見えざる脅威)」と題されているように,次第に銀河系がダークサイドに包まれていく端緒となるエピソードがまとめられていると同時に,オビ=ワン・ケノービ,アミダラ女王,アナキン・スカイウォーカーが砂漠の惑星タトウィーンで初めて遭遇する重要なエピソードが挿入されている映画ですね。

非常に印象深いシーンが,アナキンをジェダイとして受け入れる試験を,ジェダイ評議会が行ったシーンです。

アナキンスカイウォーカー

極めて強いフォースをもつ少年と確認した評議会のメンバーでしたが,アナキンが年を取りすぎていることと,ヨーダの質問によってアナキンが深い不安,恐れ,悲しみといったネガティブ感情に覆われていることに気づき,ジェダイとして受け入れることをいったんは拒否します。あんなに腕白で明るいアナキン少年も,実は,奥深いところで不安や恐れといったネガティブ感情を抱きやすい性質で,しかもそれを自己コントロールできない癖があり,ヨーダはそれを見抜いていたのでしょう。

ところが,アナキンのジェダイ入りを強く推薦するクワイ=ガン=ジンは,「アナキンこそ予言されたフォースにバランスをもたらす選ばれし男」と主張し,そのアナキンの「希少性」と「選ばれし男」だという権威にコロッと影響を受け,ジェダイ評議会の評価はかなり変化します。

最後に,クワイ=ガンの遺言を守ろうとするオビワンが半ば強引に評議会を説得し,アナキンを自分の弟子にして押し切ってしまいます。

「希少性」や「権威」といったものには,さすがのジェダイ評議会のメンバーのフォースも鈍ってしまうといったところなのでしょうか?

それにしても自分が発しやすいネガティブ感情を把握し,それをコントロールする癖をつけておかないと,のちに大変なことになるということを,少年時のアナキンを観て教えられます。そのコントロールが実は一番難しいところなのですが…。