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2015.12.14

強みのオーバーユースが過ちを誘う-スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第3回

皆様,こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

今回のブログは,「スターウォーズ エピソード3 シスの復讐」を題材に,スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第3弾のブログをお送りします。

エピソード3は,アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに堕ちてしまう過程と,銀河共和国がシスの暗黒卿に乗っ取られ,民主主義を捨てて帝国主義化して銀河帝国となってしまう出来事が主要なテーマとなっています。非常に民衆から支持を集めていて人気も高く,人望もあったパルパティーン議長がいつの間にか独裁者となり,共和国が全体主義の帝国になり果ててしまうという,第二次大戦中の,ビールの美味しいとあるヨーロッパの国の出来事を想起させるエピソードですね。現代社会でも大小さまざまなところでこの現象に近いレジームチェンジは見られますが…。

エピソード3

話は代わり,皆さんは,アナキン・スカイウォーカーの強みは何だと思われますか?

そりゃ当然,ずば抜けたフォースと銀河系最強とうたわれたライトセーバーの腕前だろうと思われると思います。

それも強みですが,能力やスキルのレベルの強みではなく,「人格としての強み(キャラクターストレングス)」は何だと思われますでしょうか?

私見ですが,私はアナキンのキャラクターストレングスには,「愛情」,「勇敢さ」,「誠実さ」が感じられます。この強みは,ダースベイダーとなった後も持ち続けているように感じています。そのことについては,次回以降のブログで書きたいと思います(書かないかもしれません)。

特に「愛情」という強みはかなり強いと思います。エピソード1と2でみせた母への強い愛,エピソード2と3でみせたアミダラに対する愛情がそう感じさせます。

アナキンは,ジェダイの騎士としての仕事で,3つの強みを活用していますが,こと「愛情」に関しては,重要な場面で適切に活用されておらず,オーバーユースしてしまい,自分の強みである「愛情」に感情が振り回されてしまいます。エピソード2でのタスケンレイダーの大虐殺も,母への愛情のオーバーユースから,タスケンへの憎悪がコントロール不能になり,起こした悲劇と思われます。

エピソード3も,アナキンの「愛情」のオーバーユースがみられます。これが基軸となって展開された映画といってもよいかもしれません。

アミダラに不幸が起こるとの予知夢を観たアナキンは,母と同じ二の舞を踏ませまいとフォースよりもより強いパワーを求めるようになります。それが端緒となり,パルパティーン議長のダークサイドのパワーに惹かれていき,パルパティーン議長の言うがままにジェダイを敵視し,裏切り,やがてシスの暗黒卿の弟子となり,ともに銀河系を帝国主義で支配することになります。

銀河系一のフォースの持ち主が,自分の強みをオーバーユースし,自分の能力を過信し,思い込みを適切に処理できないでいると,道を誤り,銀河系を巻き込む悲劇が起こるのですね。思えば,有史以来の紛争・戦争も,人間同士のちょっとした感情の食い違いなどで起こる場合も多いように思います。人間関係力やコミュニケーションが如何に大事かわかりますね。

ダークサイドに陥り,変わり果てたアナキンに会ったアミダラは,未来を絶望しつつも,アナキンの心にまだ残るブライトサイドに微かな希望を見出します。そして生まれてくるアナキンとの間にできた双子とオビ=ワンに微かな希望を託し,自らは絶命します。

パドメの出産

オビ=ワンをはじめとした善意の人々が社会的支援となって,アナキンとアミダラの子ども(ルークとレーア)は,希望に満ちて大事に育てられます。このようにして育てられた子どもはレジリエンスは相当高いでしょうね。エピソード4のサブタイトルは,この2人のことを指していると勝手に考えています。

2015.12.13

ジェダイでも思い込みの処理は難しい-スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第2回

皆様,こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

今回は,「スターウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」を題材にして,ブログを更新します。

タイトルは,「ジェダイでも思い込みの処理は難しい」です。

「エピソード2 クローンの攻撃」のストーリーは,ジェダイマスターのオビ=ワン・ケノービのもとで修業を積む才能あふれる若きアナキン・スカイウォーカーの内面の葛藤と苦悩,アミダラとの禁断の愛を描き,銀河共和国が次第に分離主義勢力との戦争に突入する件を描いた映画です。

映画の冒頭から,オビワンとアナキンとの確執が丁寧に描かれており,アナキンは,オビワンを師として尊敬しつつも,「自分のことを正当に評価していない」,「自分を一人前のジェダイにしないのは,オビワンが自分の才能に嫉妬しているからだ。」
といった“思い込み”を抱いているように感じられます。そのような思い込みがあるからこそ,オビワンやジェダイ評議会に対して,不満,憤懣,軽い憎悪,欺瞞といったネガティブ感情をアナキンは抱いています。

マスターヨーダ,マスターウィンドウ,オビ=ワンの三人の会話の中で,「アナキンのずば抜けた才能・技能が彼を傲慢(arrogant)にしている。」というセリフが出てきますが,実際はアナキンが抱くような“思い込み”は役に立たないもので,ジェダイ評議会やオビワンは,彼の傲慢さを今の段階で戒めないといずれ大変なことが起こることに気づいていたのでしょう。フォースの力は素晴らしい!

そのような“思い込み”を把握できず,処理できないまま過ごしていたせいか,アナキンは,おかしな行動を起こしてしまいます。ジェダイ評議会とは異なり自分を高く評価するパルパティーン議長に惹かれていったり,ジェダイに奨励されている“無償の愛”とは異なり特定の人への愛に走ったり…

エピソード2

極めつけは,実母を誘拐し,殺害したタスケンレイダー部族への大虐殺ですね。憎悪というネガティブ感情をコントロールできず,さまざまな思い込みによる憤懣もないまぜになっての暴挙で,あのようなことをするともうジェダイではありません。あの時点で,ダークサイドの萌芽が生じていたのでしょうね。

思い込みの処理は,才能豊かな,極めて強いフォースをもつジェダイでも難しいということでしょうね。いわんやフォースが弱い一般人にとってはなおさらでしょう。ただし,この思い込みの処理を上手くできれば,レジリエンスもフォースも高まります。

思い込みの処理がうまく機能しないことは,「思考停止」につながります。人間は,「思考停止」すると,思い込みを解消するような,わかりやすくてエモーショナルな主義主張を唱える独裁者に惹かれる傾向に陥ります。アナキンがパルパティーンに惹かれていったように…。

まあ,「思考停止」して愛に溺れていくことは,ダークサイドに惹かれるよりは良いと思いますが…。

2015.12.12

希少性はフォースを鈍らせる-スターウォーズとレジリエンス・トレーニング第1回

皆様,こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

いよいよ映画「スターウォーズ 第7話 フォースの覚醒」の公開が迫ってきました。12月18日が待ち遠しいですね。

このブログは,スターウォーズ最新作の公開を記念して,6回シリーズでスターウォーズとレジリエンス・トレーニングとの不思議な相関性をつらつらと綴ってみようと思います。

スターウォーズの物語は,ブライトサイドにいたジェダイ(アナキン含め,ドゥークゥー伯爵など)が,シスの暗黒卿の巧みな術によってダークサイドに陥ったり,ダークサイドに陥っていたダース・ベイダーが,最後にブライトサイドに翻ったりと,ポジティブ心理学コーチングの過程に極めて通じるようなところがあり,興味深いですね。どんな善人も段階を追って暗黒面に陥ることもあり,どんな悪人でも良いコーチングをすればブライトサイドに戻るという,陰陽道にも通じる要素があるストーリーが展開されているように思います。

第1回は,「スターウォーズ エピソード1 ファントムメナス」を題材にして,『希少性はフォースを鈍らせる』を記します。

エピソード1は,「ファントムメナス(見えざる脅威)」と題されているように,次第に銀河系がダークサイドに包まれていく端緒となるエピソードがまとめられていると同時に,オビ=ワン・ケノービ,アミダラ女王,アナキン・スカイウォーカーが砂漠の惑星タトウィーンで初めて遭遇する重要なエピソードが挿入されている映画ですね。

非常に印象深いシーンが,アナキンをジェダイとして受け入れる試験を,ジェダイ評議会が行ったシーンです。

アナキンスカイウォーカー

極めて強いフォースをもつ少年と確認した評議会のメンバーでしたが,アナキンが年を取りすぎていることと,ヨーダの質問によってアナキンが深い不安,恐れ,悲しみといったネガティブ感情に覆われていることに気づき,ジェダイとして受け入れることをいったんは拒否します。あんなに腕白で明るいアナキン少年も,実は,奥深いところで不安や恐れといったネガティブ感情を抱きやすい性質で,しかもそれを自己コントロールできない癖があり,ヨーダはそれを見抜いていたのでしょう。

ところが,アナキンのジェダイ入りを強く推薦するクワイ=ガン=ジンは,「アナキンこそ予言されたフォースにバランスをもたらす選ばれし男」と主張し,そのアナキンの「希少性」と「選ばれし男」だという権威にコロッと影響を受け,ジェダイ評議会の評価はかなり変化します。

最後に,クワイ=ガンの遺言を守ろうとするオビワンが半ば強引に評議会を説得し,アナキンを自分の弟子にして押し切ってしまいます。

「希少性」や「権威」といったものには,さすがのジェダイ評議会のメンバーのフォースも鈍ってしまうといったところなのでしょうか?

それにしても自分が発しやすいネガティブ感情を把握し,それをコントロールする癖をつけておかないと,のちに大変なことになるということを,少年時のアナキンを観て教えられます。そのコントロールが実は一番難しいところなのですが…。

2015.12.3

サンフレッチェからレジリエンスを学ぶ

皆様,おはようございます。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

昨夜のJリーグ・チャンピオンシップの試合,サンフレッチェ広島VSガンバ大阪戦。凄い試合でしたね。

アディショナルタイムに入って,このまま負けてしまうのかなあと思っていたところ,同点に追いつき,まさか勝ってしまうなんて。

サンフレイレブンは,誰一人として最後の最後まで勝利をあきらめていなかったですね。サンフレからレジリエンスの神髄を教えていただいたような気がします。

それにしても,サンフレの2点目,アディショナルタイムに入ってからのFKで,直接ゴール前に蹴るのではなく,1つ変化を入れてゴール前にボールを上げ,相手キーパーも見逃すような浮かしたヘディングシュートで点が入るシーンは,1993年のW杯アジア最終予選の「ドーハの悲劇」の最後の屈辱的なゴールを思い出しました。デジャヴのような。

そういえば,サンフレの森保監督もガンバの長谷川監督もともに「ドーハの悲劇」のメンバーでしたね。

下の写真は,2012年11月,サンフレがリーグ優勝を決めた日,祝賀会会場で偶然にも食事していたとき,撮ってもらった森保監督と私のツーショットです。

森保監督と私

12月5日の2戦目も楽しみになってきました。ワクワクします。

2015.11.18

生物的な組織は逆境に強い‐“動的平衡”的組織とレジリエンス

皆様,おはようございます。レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

最近,日本のスポーツチームの活躍が目覚ましいですね。W杯ラグビーの活躍,7人制ラグビーのリオ五輪出場決定,サッカーのW杯アジア予選,そして野球のプレミア12の活躍。強いジャパンを観るのは心地よいですね。ポジティビティが高まります。

プレミア12 ナンバー2

特にプレミア12のジャパンの活躍は素晴らしいですね。主軸の選手が不振だったり,けがで試合に出られなかったりしても,他のメンバーや主軸でない選手がその穴を補って余りある活躍をして勝ってしまう。二重三重の層構造が分厚くサポートしてチームを強靭化しているような印象を受けます。

かつてのジャパンナショナルチームには,あまりこのような多重補強構造はできていませんでした。野球に限らず,サッカー,バレーのナショナルチームも,主軸のレギュラーメンバーが固定されていて,主軸が一人でも欠けると,なかなかその穴を埋めてチームのパフォーマンスを維持できるサブメンバーがいませんでした。

その代表的な例は,「ドーハの悲劇」として有名な1993年のW杯サッカーアジア最終予選でのジャパンです。そのとき,左サイドバックのレギュラーだった都並敏史は左足首を骨折して出場できない状況でした。にもかかわらず,都並は当時のオフト監督から招集され,ドーハに向かいます。左サイドからの攻撃を脅威と見ていた対戦チームへ「都並はいつでも出場できる」と思わせたかったのでしょう。しかし,結局,都並は出場できず,代わりに何人かの選手が左サイドバックを務めましたが,都並ほどは機能せず,敗退しました。この一連のエピソードは,「狂気の左サイドバック」というノンフィクションに詳しく書かれてあります。

話は代わり,「動的平衡」という概念をご存知でしょうか?福岡伸一さんのベストセラーになった本のタイトルでもあるので,言葉だけはご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

私たち人間を含め,生物の体は常に物質代謝,エネルギー代謝を行っています。体を構成する物質はすべて常に入れ替わっています。つまり,今現在の私たちの体は,物質レベルでは,その短時間前の体と同じではありません。物質レベルでは,常に新たな物質が入れ替わって作られている新たな体なのです。このように物質レベルでは以前とは全く違う新たな構造体でありながら,以前となんら変わらない生物体としてふるまい,機能上も構造上も何ら変わることはありません。このような状態を「動的平衡」な状態といいます。

かつてアメリカの著名な組織経営学者,ピーター・センゲは,組織を機械としてみる捉え方と生命体としてみる捉え方の2つを紹介し,生命体のような組織の方がマネジメント力が高いと提唱しました。プレミア12でのジャパンチームは,主軸が抜けてもその穴を埋める選手が活躍してチームのパフォーマンスを崩さない,まさに動的平衡なチームで生命体のような組織を形成していますね。このような組織はレジリエンスも強く,逆境やピンチにも強いはずです。

動的平衡な組織を誤解して,組織レジリエンスを強化していないにもかかわらず,「うちは主軸がいなくても大丈夫」と勘違いして,主軸を排除して頭脳流出させ,結果,組織のパフォーマンスが著しく低下し,衰退していく企業も見られます。このような組織はご用心。

動的平衡でなくなった生命体は死を迎えます。動的平衡的でない企業・組織は…??

それでは皆様,今日もポジティビティ溢れる一日をお過ごしくださいませ(笑)