2015.6.6
西日本は,梅雨入りしての初の週末になりますが,皆様,いかがお過ごしでしょうか?広島は梅雨らしからぬ快晴で,窓外の景色も清々しい朝を迎えています。
昨日のテレビを見ていると,元テニスプレイヤーの松岡修造さんが出ていて,彼の半生が描かれていました。非常に熱い人ですね~。同じ苗字なので親近感を覚えます。大学院時代,テニスをしていたときの私のあだ名も「修造」でした。もっともテニスが上手くてついたあだ名では決してなく,単に苗字が一緒なだけでついたものです。テニスコートでは,よく「修造のくせにそんなボールも拾えないのか!」とか「修造なのに何でそんなにサーブが遅くて入らないの!?」とか言われました。かなり皮肉のこもったあだ名でしたね。
その修造さんの語録が記された日めくりカレンダーが相当売れているそうですね。他人事だけど嬉しくなります。
修造語録で気に入っているのが,「失敗したときこそガッツポーズ」です。彼らしい彼ならではの失敗の対処法ですね。日本人は,失敗の対処法が苦手というか下手というか,学校教育のころから,失敗は悪とする風潮がありますね。言霊の国なので,「失敗」という言葉を言ったり書いたりすると,本当に失敗すると考えられるところがあるので,できるだけ事が起こる前に失敗とか言わないんですけど,さすが若い頃から単身ワールドツアーを回っていた修造さんならではの考え方だなあと思いました。
皆様は,失敗したとき,それに対処する“魔法の言葉”を持っていますか?
レジリエンスの強い人は,それぞれ独自の言葉を持っていて,失敗に対処し,ネガティブ感情を抑え,ポジティブ感情を高めるコツをもっているようです。
たとえば,前のブログで取り上げたネクシィーズの近藤太香巳社長は,失敗に接し苦境に立ったとき,別の近藤社長が心の中で,「ウソウソ」とささやくそうです。別の人格がアドバイスするところがポイントですね。本当の人格は,ちゃんと失敗から逃げずに現実として受け止めているところが重要なポイントと思います。
次に,植松電機の専務,植松勉さんの魔法の言葉。何か失敗すると,「うぉ~! そうきたか~!」と明るく嘆いて,「だったら,こうしてみたら。」とポジティブに転換するそうです。この場合も,失敗を誤魔化そうとせず,しっかり受け止めたのちにポジティブな方向に転換するところが素晴らしいですね。自然にレジリエンス・トレーニングをしているようです。
「うぉ~! そうきたか~!」と「だったら,こうしてみたら。」は,最近気に入って落ち込んだときによく使いますが,自分自身の魔法の言葉はまだ持っていません。
ただ,我が家では,私が何かしら失敗して落胆したときは,カミサンが私に言葉をかけてくれます。
「お・も・い・こ・み。 思い込みよ!」(滝川クリステル風←ちょっと古い)
…
やはり自分自身で“魔法の言葉”は持たないといけません。
2015.6.3
最近,片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんが再ブレイクしていますね。「TIME」誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた方です。
断捨離や片づけが苦手なうちのカミサンも影響を受け,とうとう近藤麻理恵さんの本を買ってしまいました。
海外では近藤流片づけをすることを“コンドゥイング”と言うとか。日経新聞に載ってましたね。
自分がときめくものだけ残してときめかない物は捨ててしまう。捨てるときは,「ありがとう」と感謝の気持ちをかけるとか。この方法が物を大切にする日本の伝統的な美徳として海外では捉えられているようですね。
ポジティブ心理学が広まっている海外では,「感謝」のポジティブ感情が高まると幸福度が増し,レリジエンスが高まることも認知されています。その意味でも,「感謝」の気持ちを高めるコンマリ流片づけは,海外の人たちに受け入れられ,影響を与えたのかもしれません。
このブログを書いている私のモバイルPCも,かなりガタがきていて,明日には新しいPCに買い替えるかもしれません。今のモバイルPCへ,どうもありがとう。
本棚から溢れている大量の本も,ときめくものとときめかないものに分けて捨ててしまおう。もちろん感謝をこめて。
それよりも大事なのは,自分がカミサンから“コンドゥイング”されないように努力することですね。最重要課題です。
2015.6.1
先日の5月29日,新宿文化センターで開催されたセミナーズファンフェスタ2015に参加しました。
そこに登壇したネクシーズの近藤太香巳社長の講演は,大阪弁でシンプルに話されてとてもわかりやすく面白かったですね。
近藤社長の起業する前から現在までの人生を伺っていると,まさにレジリエンスの塊のような強いレジリエンスを持った方ですね。自然に自分自身でレジリエンスを強化する方法を知っていたかのような人生を歩んでいるなあと感じました。
そんな近藤社長も,ナスダックへの上場が中止になったとき,心が折れそうになったそうです。ITバブルがはじけ,銀行がお金を引き上げ,支援者も次々と去ってゆき,2カ月後はキャッシュアウトして倒産する危機に直面する中,近藤社長を窮地から救ったのは,創業当時からの仲間だったそうです。ビジョンを共有する仲間は,本当の意味でのレジリエンス資源になるということですね。
近藤社長のエピソードは本当に面白く,レジリエンス・トレーニングの御手本になるようなものもあるので,機会があれば,改めてブログで紹介します。
2015.5.28
前回,前々回のブログの続き。シリーズ最終回です。
前の2回のブログで,ポジティブ心理学とポジティブシンキングとの違いは,「科学的証拠の有無」と「ネガティビティの捉え方」と記しました。
今回は,ポジティブ心理学的なものの考え方とそうでない考え方を説明します。
ポジティブ心理学的な考え方
ポジティブ心理学的な考え方とは,以下のようなものの考え方と思います。
1.ネガティブな部分(感情)を認識しつつ,それを抑えながらポジティブな部分(感情)を増やそうとする。
2.弱みを認識しながら,弱みの克服よりも自己の強みを認識し,活用することを考える。
3.リスクをしっかり認識しながら,物事を楽観的にとらえる(健全な楽観主義)。
では,ポジティブ心理学的なようで,実はそうでないものの考え方とはどういうものでしょうか?
似ているがポジティブ心理学的でない考え方
ポジティブ心理学的なようで,実はそうでないものの考え方とは,以下のようなものの考え方と思います。
1.ポジティブな部分(感情)だけを見て,ネガティブな部分(感情)を無視する。
2.弱みを認識せず,強みばかりを気にする。
3.リスクを気にせず,やみくもに楽観的に物事をとらえる(無謀な楽観主義)。
以上,3回にわたってポジティブ心理学とポジティブシンキングの違いをまとめてみました。次回以降は,少しやわらかいブログに戻します。
2015.5.26
前回のブログから引き続き,ポジティブ心理学とポジティブシンキングとの違いについて
前回は,科学的証拠の有無がポジティブ心理学とポジティブシンキングとの違いの1つとし,ポジティブ心理学は科学という学問で,ポジティブシンキングは根拠に乏しい個人の考え方と説明しました。
今回のブログでは,もう1つの違い,「ネガティビティの捉え方」を説明します。
ネガティビティは必要か?不要か?
ネガティビティとは,怒り,不安,怖れ,嫌悪,嫉妬などのネガティブ感情と同じです。このようなネガティブ感情(ネガティビティ)を持つことは,決して気分の良いものではないですね。人間誰だって,不安感や恐怖感を抱いたりせず,イライラしたり怒ったりせず,または人を憎んだり妬んだりせずに過ごしたいと思っているはずです。(そんなことはないよと思っている人はゴメンナサイ。)
ネガティビティは気分の良いものではないですが,ある程度は私たち人間が生きる上で必要な感情です。例えば,恐怖感は,生命が奪われるような危機的な状況において,逃走行動を引き起こします。怒りは,自分の権利(生存権や幸福になる権利)が外敵から奪われそうになった状況で,外敵から権利を守るために戦う攻撃行動の原動力となります。さらに,不安感は,無計画な暴走行為を抑える働きをしますし,憎悪や嫉妬は肯定的なエネルギーに還元すると,爆発的な創造や発展を生み出します。
このようにネガティビティはすべて悪で排除すべきものではありません。むしろ,人間(あるいは哺乳類以上の動物)が生存していく上で必要な感情だと思います。ポジティブ心理学者もネガティビティは,
1.人間の基本的な性格を変えるきっかけを与えたり,
2.心の奥底に誘い,本当の自分と対話させたり,
3.謙虚さや道徳的な配慮,思いやりを身につけたり
することができるポジティブな効果もあると主張しています。
ポジティビティとネガティビティのバランス
ただし,ネガティビティはタチの悪い特徴があり,放っておくとネガティブスパイラルにはまって失敗を恐れたり,消極的な行動しかとれなくなって無力感が充満したり,最悪の場合,破局的な思考を招くことになります。ですので,ポジティブ心理学では,ネガティブ感情よりも多くのポジティブ感情を増やすことを唱えています。バーバラ・フレデリクソン博士の理論によれば,ネガティビティの3倍以上のポジティビティがあれば,人は上昇スパイラルに達すると言われています。
ポジティブシンキングでのネガティビティの捉え方
それでは,ポジティブシンキングではネガティビティをどう捉えるのでしょうか?
ポジティブシンキングでは,ネガティブな感情や出来事をポジティブな表現に変えることをよく行います。この行為は,一時的に人を肯定的な気分やプラスな思考にもっていくには効果があるかと思いますが,感情や行動のポジティブな面にしか焦点を当てず,ネガティビティを無視したり否定したりすることにつながります。ネガティブ感情が充満したまま無理やり心をポジティブに持っていこうとする行為が当たろうかなと思います。
このような行為は,ポジティブ心理学では「偽りのポジティビティ」と言うことがあります。バーバラ・フレデリクソン博士の言葉を借りれば,「目を閉じたポジティビティ」とも言えるでしょうか。「偽りのポジティビティ」は,人の健康を損ね,下降スパイラルに陥らせるような悪い効果があると科学的に証明されています。だから,ポジティブ心理学では,「偽りのポジティビティ」に陥ることなく,ネガティビティにもしっかり向き合い,それを科学的に解消・低減させ,ポジティビティを科学的に増加させることを研究しています。また,そのようなトレーニングを開発しています。
ポジティブ心理学は,ネガティビティと向き合いながら科学的に対処するものと捉えており,ポジティブシンキングは,ネガティビティを無視したり否定したりするものと捉える傾向が強いようです。このような「ネガティビティの捉え方」の違いが,ポジティブ心理学とポジティブシンキングを区別する大事なポイントと思います。
次回のブログで簡潔に要約しようと思います。