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2016.10.12

「アドラーの生涯」を読む‐楽観的でレジリエンスの強い個人心理学創始者

皆様、こんにちは。

レジリエンス研修講師ポジティブ心理学コーチリーダーシップ開発コンサルタント

組織改革コンサルタントの松岡孝敬です。

10月に入っても真夏のような陽気が続いているなあと思ったら、

一気に秋が訪れてしまいましたね。

皆様、体調崩されないよう、お身体ご自愛ください。

さて、今回のブログは、「アドラーの生涯」の読後感想です。

最近、アドラー心理学に関するイベントのお手伝いをする機会が続き、

この機会に、アドラー心理学や、アドラーという心理学者の人物像を見直そう

と思ったのが、分厚い本を読書するに至ったきっかけです。

「アドラーの生涯」、個人心理学の創始者、アルフレッド・アドラーの伝記、

著者はエドワード・ホフマン博士、訳者は、あの“嫌われる勇気”の著者である岸見一郎氏。

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450ページの本で、価格もそれなりにするので、図書館で借りて讀みました(;´Д`)

ページ数の割には、サクサク一気に読了しました。

これは、エドワード・ホフマン博士の文章が良いのか?

岸見一郎氏の和訳が良かったのか?

いずれにせよ、アドラーの人物像、アドラーが個人心理学を創始した目的、

ひいては医師になった目的、アドラー心理学の概要が、すんなり理解できたようで、

とても興味深く、勉強になった本でした。

アドラー心理学の重要な概念である“共同体感覚”が生まれたきっかけは、

第一一次大戦中に軍医として参加した経験であることは、興味深かったし、

特に面白かったのは、フロイトとの確執というか喧嘩、決別の様子。

心理学者同士の論争(というか、終盤は痴話げんかに近い…)は、こんな感じなのかと、

心理学者のイメージ、フロイトとアドラーの人間臭さがわかり、面白かったですね。

アドラーの共同体感覚を育成すれば幸福になれるといった理論は、極めて楽観的で理想的、

だからこそ、科学的でないとして、仲間が去るといったこともありましたが、

現代では、すんなりと受け入れられやすいように思います。

ポジティブ心理学にも通じるところが多く、

ポジティブ心理学の源流のような感じがしないでもありません。

共同体感覚といった概念を生み出したアドラー自身も、その追求を目的として医師となり、

人生を歩んだような人で、

アドラーが医師になろうとしたのも、人類を救う最善の手段としてであり、

医師として仕事をすることで、個人的な富を増やすのではなく、世界を変えたかった。

そのように「アドラーの生涯」では書いてあります。

事実、ウィーン時代のアドラーは、富裕層が住む町ではなく、

貧しい大衆の町に自分の医院を開業し、

治療費を払えない人がいたときは、ときおり、治療費をもらわず無償で診ていたそうです。

早期に自分の人生の目的(アドラー流に言えば適切な目的)を確立し、

その目的、信念、価値観に誠実に矛盾することなく人生を過ごし、多大な社会貢献をした。

まさにアドラーは、オーセンティックリーダーであり、

レジリエンスの強い心理学者だと思います。

10月23日、「アドラーの生涯」の著者、エドワード・ホフマン博士が来日し、

アドラー心理学とポジティブ心理学に関して講演される貴重なセミナーが開催されます

(下記をクリック)

アドラー心理学とポジティブ心理学から「幸福」を達成する講演会&ワークショップ

ご興味のある方は、是非、ご参加くださいませ。私も理事としてお手伝いしています。

それにしても、アドラーは人類の幸福達成のために、

個人的な富の獲得を置いて社会貢献していたのに、

アドラー心理学の追従者や、後に続く現代の心理学者、

心理学ベースのビジネスコーチの中には(全員がそうではないにしろ)、

社会貢献を置いてでも個人的な財産を増やすことに血道を上げる人が多いのだろう???

2016.9.29

とと姉ちゃんに見るリーダーシップ-対照的な2人のリーダーの共通性

皆様、こんにちは。

レジリエンス研修講師ポジティブ心理学コーチリーダーシップ開発コンサルタント

組織改革コンサルタント松岡孝敬です。

NHKの朝ドラ、「とと姉ちゃん」、とうとう今週で終了ですね。

あさロスに続き、来週から“ととロス”の日々がしばらく続きます。

ドラマの舞台が戦後の「あなたの暮らし」の雑誌を創刊する頃になったあたりから、

主人公の小橋常子と、名編集長の花山伊佐治という、

2人の対照的なリーダーの言動に非常に注目して見ていました。

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社員の意見やアイデアを尊重しつつ、自分のビジョン・目標を掲げ、

そのビジョンを自然に浸透させてリードする小橋常子社長と、

方や、部下の仕事ぶりだけでなく態度・礼節にもとても厳しく、

怒声を浴びせる叱責も厭わず、部下に対する以上に自分に対して、

ストイックに厳しい態度を示してリードする花山伊佐治編集長。

社員に対してきめ細やかな配慮を示しつつ、社員は家族の一員として絶対守ると、

父性的なリーダーシップを発揮する小橋常子さん。

一方、“昭和のお父さん”的な、厳格な父性をもって小橋三姉妹や部下を指導しつつ、

母性を感じさせる、感性豊かな文章や挿絵を描く花山伊佐治社長。

対照的なお二人のリーダーシップは、

早くにお父様を亡くされ、父代わりに姉妹を支えた経験や、

早くにお母様を亡くされ、お母様の苦労を認識していた経験が

影響しているかもしれません。

まあドラマの世界なので…。

小橋常子さんと花山伊佐治さんのリーダーシップ、両極端ですが、共通性もあります。

それは、レジリエンス(逆境力)とオーセンティシティ(真正さ、自分らしさ)です。

お二人のリーダーシップは、典型的なオーセンティックリーダーシップだと思います。

お二人とも、オーセンティックリーダーの要素を備えています。

レジリエンスの強さについては、それぞれ、言語を絶するような戦争時の生活を

乗り越えた経験を持っていますので、それがレジリエンス資源になっているのでしょう。

その共通する体験が、「女性の豊かな暮らしを取り戻す雑誌を創る」という、

ビジョンの共有につながるのでしょうね。

そして、オーセンティシティ(真正さ)については、

それぞれの人生の歩み、旅路が深く影響していることは言うまでもありません。

人生のさまざまな経験を経ることによって、それぞれのリーダーは、

自己の強さや弱さ、価値観・道徳観を認識し、自分の価値観・信念に一貫した行動をとり、

部下・スタッフ・周囲の人々にも先入観をもたずに公平に接することができる。

お二人とも素晴らしいリーダーで、

素晴らしいオーセンティックリーダーシップを発揮しています。

このようなオーセンティックリーダーシップは、誰でも開発・実行することができます。

不肖、私、10月24日(月)に、パソナウィメンズキャリアカレッジ東京校様にて、

リーダーシップ開発講座に登壇させていただきます。(詳細は↓をクリックしてください)

【ダイバーシティ推進プログラム】ダイバーシティ時代を生き抜く‘本物の’リーダーシップ開発講座
ご興味のある方は、是非、ご参加くださいませ。

最後は、自分が登壇する公開講座の宣伝でごめんなさい。

花山伊佐治さんに怒られるかも( ノД`)シクシク…

2016.8.25

 日本のオジサンはやっぱりペシミスト(悲観主義者)?-とあるスタンディングワインバーでのレジリエンスな夜

皆様、こんにちは。

レジリエンス研修講師ポジティブ心理学コーチ松岡孝敬です。

したたか酔ってブログを書いているので乱筆乱文ご容赦を。

今日は、午後から少し難航していたコンテンツというか、

セールスコピーの執筆を終えたので、安堵し、

かつ、カミサンが仕事で急な飲み会が入ったので、この機会を天祐と思い、

ホームグラウンドのスタンディングワインバーにくりだしたのでした。

ワインのブラインドテイスティグを試されながらワインを楽しんでいると、

赤ワイン

最近、よくお店に来るらしい私よりも少し年配のオジサン2人が私を挟んで両脇に立ち、

お酒を飲みつつ、タバコを吸いつつ、会話を楽しみ始めたのでした(;’∀’)

タバコの苦手な私は、

この時点でレジリエンスの試される時間を過ごすことになったのでした( ノД`)シクシク…

そのオジサン2人の何気ない会話に考えさせられました。

オジサンA「今、カープ負けてますよ。4-0で、ジャイアンツに。」

オジサンB「三連戦じゃけえ~、2-1で負け越すことになっとるんでしょ。

マジックも点灯したけえねぇ~。」

えっ!? あれ!? まだ3回じゃん。なんで負けるなんて言うの!?

(このブログ書いてる時点で結局逆転してカープ勝っちゃいました(;’∀’))

こういう発言を聴くと、外国人はペシミスト(悲観主義者)だと思うんだろうなあ~と、

ワインを飲みながら、ペシミストの私は思ったのです(;’∀’)

ちなみにアメリカンは、こんな会話になりません。

ユニフォームが似ているシンシナティ・レッズファンのアメリカのオジサン2人の会話を

想定しましょう。

アメリカのオジサンA「おい、レッズ今、ジャイアンツ(サンフランシスコです)に

リードされてるぜ!(負けているとは絶対言わない)」

アメリカのオジサンB「まだ4-0じゃねえか!ボットがグランドスラム2本打ちゃあ

8-4で逆転じゃねえか!」

アメリカのオジサンA「そうだな、brother!ボットの満塁ホームランに乾杯!」

てな感じでしょうね。ネガティブな発言は絶対しないでしょ( ´艸`)

バスケットの神様、マイケル・ジョーダンがシカゴ・ブルズの現役時代、

マイケルジョーダン

プレーオフの決勝シリーズのとある一戦で一人で55点もとったある夜、

ブルズのチームメートで、ジョーダンと同じノースカロライナ大学出身の

控え選手がインタビューで、

「今日は、俺とマイケルでノースカロライナ大学コンビで56点挙げてやったぜ」

(その選手はその日の得点1点)。

別のノースカロライナ大学出身のブルズのチームメイトは、

「馬鹿野郎!俺とマイケルは58点も挙げたんだぞ!俺らこそMVPだ!」

(その選手はその日の得点3点)。

凄いオプティミスト(楽天主義者)でポジティブでしょ!!

私を含め、日本のオジサンには、こんなオプティミティックな発言はできないですね~。

ポジティブ心理学の論理では、オプティミスト(楽観主義者)は成功すると言われています。

今夜、スタンディングワインバーでお会いしたオジサン2人は、

ペシミスティック(悲観主義的)な

発言をしていましたが、でも成功してなさそうな雰囲気でもないし、

なにより幸福そうでした。

ということは、外国で言うペシミズム(悲観主義)は、日本のそれと違うんじゃないの?

日本は日本で独自の捉え方、独自のポジティブ心理学があっても良いのかなあ

と感じました。

そんなこんなで程よく酔った私は帰路についたのでした。

最近、ワインが弱くなって以前ほど飲めなくなったなあ~。

これはペシミストの発言なのか、それともリアリティ(現実)なのか( ノД`)シクシク…

2016.8.1

リーダーに必要不可欠なもの-レジリエンスと真正さ(オーセンティシティ)

皆様、こんにちは。

レジリエンス研修講師ポジティブ心理学コーチ松岡孝敬です。

かなりの期間、ブログの更新をさぼってしまいました。

その間、コンフィデンシャルな仕事が多くかったり、

ブログで投稿できるネタがなかったりといった理由で、

なかなかブログを書く気持ちが起こらなかったというか…。

のっけから言い訳ばかりですみませんm(__)m

今月から、ブログをマメに更新しよう。

さて、

最近、企業でレジリエンス研修とは離れ、

リーダーシップ研修を行う機会が増えてきました。

ポジティブ心理学をベースにしたオーセンティックリーダーシップ研修が、

弊社ポジティビティのメインコンテンツなのですが、

企業様の要望をお聞きして、コンテンツのワークやケースを変えていくと、

研修のバリエーションが増えてきて面白いなあと思います。

これからますますリーダーシップ研修を行う機会が増えてくるようなので、

さまざまなリーダーシップ開発法を改めて勉強し直さないといけないなあと、

最近つくづく感じていますし、勉強し直しています。

リーダーシップの型も千差万別、さまざまですが、

その開発法も多種多様だなあと改めて調べて思いました。

ただ、根底に流れる基軸となるものは絶対あるはずで、

それをポジティブ心理学やポジティブ組織論をベースにしたワークを通して、

徹底的に育成・開発していけば、良い研修になるし、

良いリーダーが育成できると確信しています。

さて、話が変わり、

今年も、ビジネススクールの修了生が集まる勉強会の時期が近づいてきました。

毎年、恩師で、東京大学のイノベーション推進本部長である教授を講師にお迎えして

開催しています。

今年で6回目を迎え、2回目以降から、いつの間にか、

私が幹事を務めるようになってしまい、

けっこう楽しみながら、幹事役を引き受けています。

勉強会のテーマは、毎年、アントレプレナーシップ、リーダーシップで、

歴史上の人物をアントレプレナーとしてとらえ、課題図書とアサイメントを元に、

ディスカッションを行って実践知を深めるというMBAスタイルの勉強会です。

毎年、取り上げる人物ゆかりの地で開催する決まり事なので、開催地が異なるのですが、

今年は、豊田佐吉を取り上げ、名古屋で開催します。

2日間の勉強会の初日は、母校ビジネススクールの新キャンパスで行います。

それで、事前の課題図書、課題動画の中に、

TBSのドラマ「リーダーズ(LEADERS)」があって、

昨日は、ずっとそれを見ていました。

リーダーズ

リーダーズとタイトルにあることからわかるように、

豊田喜一郎がモデルとなった愛知佐一郎(佐藤浩市演じる)以外にも、

さまざまなタイプのリーダーが現れて興味深いですね。

リーダーシップを勉強する良い教材動画になりました。

そんな動画を見ながら、リーダーにとって必須な要素って何だろうと、

ふと考えていました。

恩師は、よく、パッションとインテリジェンスとおっしゃいます。

その他にも、先見性、巻き込む力、グリット(やり抜く力)などなど、

いろいろな要素が挙げられます。

私としては、リーダーにとって必要不可欠な要素は、2つに集約されると考えています。

その2つとは、レジリエンス(逆境力)と、

オーセンティシティ(真正さ、本物さ)だと思います。

そう考えると、現代は、まさにリーダーシップの危機の時代

本物のリーダーが不在の時代ですね。嘆かわしい( ノД`)シクシク…

さて、昨日、東京都の新都知事が決まりました。

任期途中で止められた前職2人の都知事には、

レジリエンスオーセンティシティもなかった…。

新都知事はどうなのでしょうか?

レジリエンスは強そうだけど、オーセンティシティはあまり・・・・・・???

これからお手並み拝見で、期待しましょう。

2016.2.26

レジリエンスはストレスを受け入れ力に変える-ケリー・マクゴニガルの最新刊に学ぶ

皆様、こんにちは。

レジリエンス研修講師,ポジティブ心理学コーチの松岡孝敬です。

今回のブログは,最近読んだケリー・マクゴニガルさんの最新刊、

スタンフォードのストレスを力に変える教科書」(原題“The Upside of Stress ”)

の書評です。

ケリー・マクゴニカル最新刊

書名からはわかりずらいですが,これは紛れもなくレジリエンスの教科書ですね。

いままで習得したレジリエンストレーニングのプログラムとは異なるワークや

エビデンスがけっこう多くあり,とても勉強になりました。

興味深かったのは,ストレス・パラドクスの件。

1998年からアメリカで3万人の成人を対象にした調査で、「この1年間でどのくらい

ストレスを感じたか?」また,「ストレスは健康に悪いと思うか?」という

2つの質問をし,8年後,3万人の参加者のうち,誰がなくなったかを追跡調査しました。

その結果、強度のストレスがある場合は,死亡リスクが43%も高まりました。

ただし,死亡リスクが高まったのは,2つめの質問で「ストレスは健康に悪い」

と思った方だけだったのです。

つまり,「ストレスは健康に悪い」と思わない人は死亡リスクが高まることなく

健康に過ごしているということですね。

他にもコロンビア大学ビジネススクール行動研究所の実験例が記されており,

学生に2種類のビデオ映像を見せたのちに模擬就職面接を受けさせ,

その後,学生の唾液を採取し,コルチゾールデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)という

2つのストレスホルモンの量を測定しました。

コルチゾールとDHEAの量比はストレス反応の「成長指数」と呼ばれ,

これによってそのときのレジリエンス度を測定できるようです。

知らなかった。そんなスケールがあったなんて。

DHEAの量が多いと成長指数,レジリエンス度が高く,

コルチゾールの量が多いと,その逆になります。

さて,模擬就職面接前に見せられた2種類のビデオ,2つのグループに分けて

それぞれ1種類別々のビデオを見せられています。

そのうち,1種類は,「ほとんどの人はストレスは悪いものと考えています。

ところが,研究結果によって,ストレスには良い効果があることがわかっています。」

というストレスのポジティブな(upsideな)面を強調した3分間の映像。

もう1種類は,「ストレスが健康に悪いことは多くの人が知っています。

ところが,研究によって,ストレスは私たちが予想している以上に心身を消耗される

ことが明らかになったのです。」というストレスのネガティブな面を強調した映像。

2つのグループの成長指数,レジリエンス度の結果は,もうおわかりですよね?

ストレスのポジティブな面を強調されたグループはレジリエンス度が高く,

ネガティブな面を強調されたグループは,レジリエンス度が低い結果となりました。

ストレスに対する思い込み,認知を変えることでレジリエンス度が変わる

ユニークなデータですね。

この本には,それ以外にもレジリエンスに関する新たな知見・エビデンス・

エクササイズが豊富に記載されており,今までの自分のレジリエンス研修プログラムを

補完したりブラッシュアップできたりする情報が満載でした。

じっくり再読しよう。そして次回の研修のコンテンツはかなり修正を施さねば…

なかなか凄い心理学者ですね。ケリー・マクゴニガル

一度お会いしてお話しを伺いたいです。美人だし。(それは関係ないか…。)

それにしても,“The Upside of Stress”の邦題が,何故,

「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」になるんだろ?

考えるとストレスが溜まってしまう(泣)。

ケリー・マクゴニガル先生にセラピーしてもらいたい。