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2015.8.10

援助希求力の重要性-メンターの援助は甘受しなければ…

子どものころから,頼まれたら断れず,安請け合いして失敗したことがよくあります。社会人になっても困った人から助けを求められると,つい無理して何とかしようと援助してしまう。損なのか得なのか…?

そういった性格は,自分のキャラクターストレングス(人格の強み)の一つで,けっこう誇らしく思っていたのですが,逆の立場になると,人に援助を求めるのは非常に苦手で,軽々に人に助けを求めない損な性格なんですね。親(特に父親)の影響なのか,学生時代に培った癖なのか,潔く他人に助けを求めない。私は,極めて援助希求性の低い性格なのです。

レジリエンス資源の1つに社会的支援があります。何かしら困難な局面や逆境・試練にさらされたとき,社会的支援(サポーター)が身近にいてサポートしてくれると,レジリエンスは強化され,逆境も乗り越えられます。援助希求力の弱い人は,せっかく社会的支援を得ていてもサポートを求めることが難しく,結果,レジリエンスが弱まり,逆境を乗り越えられなくなります。

援助希求性が弱いという性格は,レジリエンスを強化する上で修正すべき性格ですね。特に子供のころ,援助希求性が弱いと,困ったときに周囲に助けを求められず,援助を求めることに適応できない状況を招きます。

皆様も,困った局面に達すると,皆様をサポートする周囲の社会的サポーター,メンターにサポートをお願いし,甘受しましょう。皆様のサポーターは皆様から援助を求められるのを実は待っていらっしゃるのです。助けを求めないと,皆様のレジリエンスも弱まってきます。

以上,素直にメンターに助けを求められないレジリエンス講師からの,やや説得力に欠けるアドバイスでした。

2015.7.26

柔らかい眼差しに包まれた部屋-latourとアイクロックとコロッケ

昨日は,MBAの後輩の新築祝いに招かれ,楽しい時間を過ごすことができました。

新築祝いと思いきや,ホストである後輩は,私の起業祝いとして会を企画したようで,私の大好きなシャトー・ラトゥールを準備して,抜栓してくれました。

とても恐縮し,とても感激し,とても感謝いたしました。感謝の嵐。

リビングで,MBAの後輩と,彼の美しい奥様,MBAの先輩で私と同じワインエキスパートを持っている友人4名と,シャンパン,コルトンシャルルマーニュ(ブルゴーニュ・白),ムルソー・ルージュ(ブルゴーニュ・赤),そしてシャトー・ラトゥール(ボルドー・赤)を飲み明かしました。奥様の美味しい手料理を酒肴にして。友人が持参したコロッケもいただきました。私は,ラトゥールとコロッケが大好きなので,嬉々としてパーティーを楽しみました。

宴の前に後輩の自慢の書斎を見せていただきました。まさに男の隠れ家的な空間を創っていて,遊び心溢れる出入口を創っていて,興味深かったですね。イノベーティブな雰囲気を醸し出すうらやましい部屋でした。

リビングで気づいたのが掛け時計。

なんと私のリビングにも掛けているジョージ・ネルソンデザインのアイクロックが掛けてありました。芸術性が高いというか趣味が合うというか審美眼が共通しているというか,妙に心地よい空間と感じたのは,アイクロックに温かく見守られてワインを飲んでいたからかもしれません。
井崎家アイクロック
■後輩の新居を飾るアイクロック■
松岡家アイクロック
■我が家のアイクロック■

眼が象徴するものは,深い洞察,人間を見る温かい眼・眼差し,そして明るい未来を映すビジョン。いずれもレジリエンス・トレーニングをはじめとした人材育成に不可欠な要素ですよね。

アイクロックの柔らかい眼差しに包まれながら,ポジティビティ溢れる人々と楽しい時間を過ごすことができました。幸福度も安高まり,レジリエンスも強化されました。

明日からまた仕事に邁進できそうです。その前に今宵は,大御所の広島大学名誉教授と神戸大学教授との宴。レジリエンスが試されそう…(笑)(泣)。

2015.7.22

レガシーという強み-ポジティブ心理学者とのコーチングセッション

7月18日~20日の3日間,ポジティブ心理学会のインディ・ジョーンズこと,ロバート・ビスワス・ディナー博士が講師をされた「ポジティブ心理学コーチング課程」のワークショップに参加しました。非常に濃密で有意義なワークショップで,ますますポジティブ心理学にのめりこんでしまいそうな,充実した3日間でした。

2日目の午後,強み発見アセスメントの1つである,「Realise2」の結果をアジェンダにしたコーチングをロバートから受けました。貴重な体験でしたね。

Realise2の結果,私には,7つの活用している強みがあったのですが,その中の1つがどうにも腑に落ちない,よくわからないものがあって,それを取り上げてのセッションもありました。

その強みがレガシーです。

レガシーについて,診断結果には次のように説明されています。

「あなたは次世代のことを真剣に考え、長く受け継がれるような遺産(レガシー)を築きたいと思っています。変化を起こすような、そして周囲によい影響をもたらすような遺産を築くために、努力することが大好きなのです。自分が大切にしていることが、自分が亡き後も継承されて、よい影響を及ぼし続けていくことが、あなたにとってはとても大切なことなのです。」

『自分のミッションやビジョンが実現できるように精一杯頑張っているけど,自分が死んだあとのことまではさすがに考えていなかった。それが強みとも認識していなかった』と話すと,ロバートは,深くえぐるような質問をいくつかしたのち,

『あなたは,今日の午前のセッションのときから,素晴らしいミッションをもっていらっしゃる。私もインスパイアされるほど。そのような素晴らしいミッションを後世にまで残したいと感じている気持ちがこの診断結果に表れているのではないですか?』と,内面をすべて見透かされたような,どでかい澄んだ目で射すくめられ,言葉を交わされると,自分には,レガシーという強みがあると納得しました。

自分のミッションは,「レジリエンスの強い人々,ポジティビティ溢れる繁栄型組織を育て,双方の持続的成長にコミットする」こと。そして「数多くの幸福な人々と組織を創る」こと。これらのミッションが後世まで継続するよう邁進していこうと改めてコミットしたひとときでした。また,レガシーを築きたいという気持ちこそが自分の強みなんだと認識した瞬間でもありました。

そうだよな。せっかくたった1回だけの人生を生きているんだから,何か後世に役立つ足跡を残さなきゃ。

それにしてもロバート恐るべし。いや,本当に素晴らしいポジティブ心理学者であり,ポジティブ心理学コーチ。最大の敬意を表します。
ロバートと私

2015.7.8

“幸せホルモン”セロトニンの役目‐ネガティビティとポジティビティの調整役

先日,レジリエンス講師の友人とワインを飲んでいたときのこと。

レジリエンス・トレーニングでは,ネガティブ感情を早期に解消してネガティブスパイラルから脱出することが最初のステップですが,その解消法で好ましくない方法とされているのが,アルコール,ギャンブルと言われています。

なんでアルコールはネガティブ感情の解消に好ましくないのか?むしゃくしゃしたときに気晴らしに酒を飲んだっていいんじゃないの?ぱあっと気が晴れるし…。って思っている酒飲みは多いと思います。その友人もよく質問を受けるとおっしゃってました。

アルコールもギャンブルも中毒になりやすい,依存症になりやすいからというのが理由なのですが,それだけではなく,セロトニンの分泌量が低下して,脳内のホルモンバランスが悪くなるから,結局,ネガティビティが解消されないんでしょうね。

脳内で重要な働きをしている脳内ホルモンとして,ノルアドレナリン,ドーパミン,セロトニンの3つが知られています。ノルアドレナリンはストレスを感じると多く分泌されるホルモンで,ネガティブ感情を発生させます。一方,ドーパミンは,快楽ホルモンで,過剰に分泌されると,喜びなどの快感が持続します。これら2つのホルモンに対して,セロトニンは,ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑制し,心のバランスを調整する役割を持っています。

アルコールやギャンブルは,ドーパミンの分泌を増やすので,一見,ポジティビティが高まり,ネガティブ感情の解消に有効ではないかと思わますが,ドーパミンの過剰分泌を引き起こして依存症を引き起こす原因にもなるし,ネガティブ感情が高まっているようなノルアドレナリンの分泌量が多いときにアルコールやギャンブルをすると,セロトニンのバランサーの役割をはるかに超えるドーパミンが分泌されて,ネガティビティの解消にはならないんでしょうね。セロトニンが働かない分,ネガティブ感情をかえって増幅するのではないかと思われます。

ネガティブ感情の解消法として適切といわれている,運動,呼吸,音楽,筆記などは,ドーパミンも適度に分泌量が増えるし,セロトニンも適度に作用するので,ネガティブ感情が解消されるのでしょうね。

そう考えると,セロトニンの役割は凄いなあと思いますね。清濁併せ呑んでバランスをとる憎いやつ。

アルコールやギャンブルで依存症になるメカニズムには,脳内の報酬系と呼ばれる神経系が関与します。この話は,今後のブログで書こうかなあと思います。

というわけで,酒癖の良し悪しは,セロトニンが脳内でちゃんと働いているかどうかにかかっているだろうと思います。

アルコールはネガティブ感情の解消には適切ではないですが,ポジティビティの高い状態では,ポジティブ感情を増加させる働きがあると思います。エビデンスは今のところないですが,経験上,間違いありません。

なんせ私はプロのワインホリック(ワイン中毒者)ですから…。あれっ??論理矛盾しているかな?

2015.6.28

傍観者効果を未然に防ぐレジリエンス(逆境力)‐名古屋に向かうのぞみでの出来事

ちょっと自慢話。誕生日に免じてお許しを。

いや自慢話に結局はなっていないかもしれません。私も集団心理の罠にかかり,外国人観光客に不快な思いをさせてしまったかもしれなかったので。

6月27日(土),翌日の名古屋での講座受講を控え,前日入りするためお昼頃に東京から発車するのぞみ指定車両に乗り込んだときの出来事です。新横浜を過ぎてまどろんでいると,車両内から「Do you speak English?」とネイティブな英語が聞こえてきました。どうも欧米から旅行に来た初老の男性が,英語を話す日本人を探しているようでした。私は英語はさほどうまく話せないし,多分,車掌か誰かがちゃんと応対するだろうと思い,再びまどろんだのでした。

それから,初老の外国人男性は,車内販売員(売り子さん)の女性に話しかけたところ,会話が通じなかったのか,さきほどよりも一層慌ていらつき,「Do you speak English?」と繰り返し座っている乗客に話しかけながら,車両を歩いていたのでした。

さすがに誰も応対しないのもまずいなあと思い,下手な英語を顧みず,「What’s wrong?」と話しかけて応対した私でした。
すると,件の男性は,安どの表情を浮かべたのち,しばらく私と会話して疑問が解決し,本来座るべき座席のある車両に向かったのでした。

聞くと,彼は,自分の切符を見せながら販売員に「この列車は名古屋駅に行くのか?」(ここからは日本語でお送りします。日本人ですので)と英語で尋ねると,販売員の女性は,「No!No!」と話したというのです。おそらく女性は,切符(自由席でした)を見て,「この切符は自由席のもので指定車両には乗れませんよ。」と言いたかったんだと想像しますが,彼にとっては,それ以前に,「この新幹線は名古屋には行かない。」と言われたと誤解し,パニックになったんでしょう。彼にとっては相当レジリエンスが試される状況だったに違いありません。不安やイライラといったネガティブ感情が渦巻き,心中穏やかではなかったでしょう。「親切で優しいと評判だったのに日本人はなんて不親切なんだ!」とか「名古屋に向かうチケットを買ったのに名古屋へ向かわないなんてどういうことだ!」なんて思い込みから様々なネガティブ感情が発生したのだろうなあと察しました。

その一方で,当初の私を含め,無関心を決め込んだ多くの乗客の心には,「誰かが応対してくれるだろう」とか「英語しゃべれないから無理だよ」といった思い込みがあったのだろうと思います。

この状態から双方が幸福な状態にするには,勇気をもって誰かが応対し,双方の立場のネガティブな思い込みを処理する必要がありました。レジリエンスを思い切り発揮した時間でした(←そんなに大層なことか?)

このときの私と外国人男性が乗っていた車両内の乗客の心理は,心理学用語で「傍観者効果」といいます。この効果は,「ある事件に対して、自分以外に傍観者がいるときに率先して行動を起こさない」集団心理の1つで,傍観者が多いほど起こる確率というか効果は高いと言われています。

傍観者効果の研究のきっかけとなった悲しい事件が,1964年にニューヨークで起こった「キティ・ジェノヴィーズ事件」です。この事件は,キティ・ジェノヴィーズさんが深夜に自宅アパート前で暴漢に襲われたとき,彼女の叫び声で近隣住民38人が事件に気づき目撃したにもかかわらず,誰一人警察に通報せず,助けにもいかず,結局暴漢はその後二度現場に戻り,彼女を殺害してしまったという痛ましい事件です。

このような傍観者効果が招く悲惨な事件を防ぐには,傍観者効果が発生しないような社会システムの構築が重要視されています。

私は,多くの市民のポジティビティが高まり,レジエンスが強化されれば,多くの人々の幸福度が増し,利他の心が浸透しますので,傍観者効果も未然に防げると思います。そんな社会をつくれるお手伝いをしたいなあと感じます。

それにしても私の英語はひどすぎる。レジリエンス資源を思い切り消耗してしまった…。TOEIC満点達成は夢のまた夢ですね(泣)。