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2015.7.22

レガシーという強み-ポジティブ心理学者とのコーチングセッション

7月18日~20日の3日間,ポジティブ心理学会のインディ・ジョーンズこと,ロバート・ビスワス・ディナー博士が講師をされた「ポジティブ心理学コーチング課程」のワークショップに参加しました。非常に濃密で有意義なワークショップで,ますますポジティブ心理学にのめりこんでしまいそうな,充実した3日間でした。

2日目の午後,強み発見アセスメントの1つである,「Realise2」の結果をアジェンダにしたコーチングをロバートから受けました。貴重な体験でしたね。

Realise2の結果,私には,7つの活用している強みがあったのですが,その中の1つがどうにも腑に落ちない,よくわからないものがあって,それを取り上げてのセッションもありました。

その強みがレガシーです。

レガシーについて,診断結果には次のように説明されています。

「あなたは次世代のことを真剣に考え、長く受け継がれるような遺産(レガシー)を築きたいと思っています。変化を起こすような、そして周囲によい影響をもたらすような遺産を築くために、努力することが大好きなのです。自分が大切にしていることが、自分が亡き後も継承されて、よい影響を及ぼし続けていくことが、あなたにとってはとても大切なことなのです。」

『自分のミッションやビジョンが実現できるように精一杯頑張っているけど,自分が死んだあとのことまではさすがに考えていなかった。それが強みとも認識していなかった』と話すと,ロバートは,深くえぐるような質問をいくつかしたのち,

『あなたは,今日の午前のセッションのときから,素晴らしいミッションをもっていらっしゃる。私もインスパイアされるほど。そのような素晴らしいミッションを後世にまで残したいと感じている気持ちがこの診断結果に表れているのではないですか?』と,内面をすべて見透かされたような,どでかい澄んだ目で射すくめられ,言葉を交わされると,自分には,レガシーという強みがあると納得しました。

自分のミッションは,「レジリエンスの強い人々,ポジティビティ溢れる繁栄型組織を育て,双方の持続的成長にコミットする」こと。そして「数多くの幸福な人々と組織を創る」こと。これらのミッションが後世まで継続するよう邁進していこうと改めてコミットしたひとときでした。また,レガシーを築きたいという気持ちこそが自分の強みなんだと認識した瞬間でもありました。

そうだよな。せっかくたった1回だけの人生を生きているんだから,何か後世に役立つ足跡を残さなきゃ。

それにしてもロバート恐るべし。いや,本当に素晴らしいポジティブ心理学者であり,ポジティブ心理学コーチ。最大の敬意を表します。
ロバートと私

2015.7.17

ポジティビティがイノベーションを生む事実‐マリス博士とPCR法

今日は,台風のため室内で鬱々としているので,気分転換に,愛がイノベーションを創造するといった話を書きます。

皆さんは,最近,DNA型鑑定やゲノム解析など,遺伝子を解析する技術のことを普通に知っていらっしゃると思います。ですが,そのような個人の遺伝子を解析する技術を可能にした画期的な技術をご存知でしょうか?

その技術は,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法といいます。一般にPCR法と呼びます。

PCR法は,目的となる遺伝子を高速で大量に増幅する方法です。詳細な解説は省きますが,この方法によって,飛躍的に分子生物学の研究やバイオテクノロジーが進歩しました。

この技術を開発したのは,キャリー・マリス博士。かなり風変わりな化学者ですが,PCR法の開発の業績によって,1993年にノーベル化学賞を受賞しました。

マリス氏がPCR法の着想を思いついたのは,当時交際していた女性と夜のドライブ中だったというエピソードはあまりにも有名で,一説によれば,彼女とキスしたときにポリメラーゼを用いてDNAを短時間に大量にコピーする方法を思いついたとか。

キスからどうやってPCR法を思いつくのか? 天才の頭の中身はどうなってつくられているのかさっぱりわかりませんが,要は,ポジティビティ(特に愛)は,世界をひっくり返すイノベーションを創出するという素晴らしい例ですよね。

マリス氏,実は日本国際賞も受賞し,来日されています。そのとき,美智子皇后様(当時は皇太子妃殿下)と会話され,そのときのエピソードも素晴らしいので紹介します。

美智子妃殿下がマリス氏と同席された女性を見て,「この方がPCR法を発見されたときの女性ですか?」と尋ねられました。

マリス氏は,「いえ違います。あのときの彼女とは別れました。」と答えました。

美智子妃殿下は,すかさず,「まあ,それでしたら,あなたはもう一度ノーベル賞をおとりになれますわね。」と返答されました。なんというウィットに富んだ返し。このエピソード,都市伝説という話もありますが,私は事実と思います。

以上,愛は凄まじいイノベーションを創造するというお話でした。これであなたも愛に溺れたくなったでしょう?

2015.7.14

一人を救うものは世界を救う‐レジリエンスもポジティビティも高まった三日間

先週末,10日~12日は,幕張と東京で2つの異なるセミナーに参加しました。どちらも私の今後のビジネスにおいて大事なセミナーでとても有意義な時間を過ごしました。

1つは全米ナンバーワンのマーケティングコンサルタントが講師を務めるマーケティング戦略セミナー,200名以上が参加した大規模なセミナーでした。もう1つはレジリエンス講師が実践例を共有しあい,ネクストステップを議論するセミナー。

趣の異なる2つのセミナーですが,共通点もあります。それは,いずれも「クライアントを幸福に導く方法を学ぶこと」。

マーケティング戦略セミナーの講師を務めた超大物カリスマコンサルタントのJ氏は,「クライアントとはコンサルタントが保護すべき存在」,「マーケティングとは顧客に恋をすること」という主張をされています。レジリエンス・トレーニングもそれに通じるところがあるかなと思います。クライアントに愛情を注ぎ,ポジティビティを高めなければ,クライアントのレジリエンスを強化することは難しいなあと感じます。

クライアントに愛情を注ぎ,感謝し,恋をするように保護する。それはマーケティングもレジリエンス・トレーニングも共通するのだろうなあと痛感した3日間でした。

マーケティング戦略セミナーでは,40歳前半のコンサルタント起業準備中の方と友人になり,レジリエンス講師のセミナーでは,定年間近の方でやはりコンサルタントとして独立を志望している方と友人になりました。前者の方には,起業直後の集客について尋ねられ,いまだ集客にもがいているなりにうまくいった戦術を説明すると参考になったようです。後者の方は,私が退職直後に独立起業したエピソードを披歴すると,勇気をいただいたとのお言葉を頂戴しました。起業して5か月足らずで大した経験はないのですが,そんな経験でもいろいろな人に少しでも刺激になり,貢献できることは嬉しいですね。

そんな感慨に耽っていると,映画「シンドラーのリスト」のとある言葉を思い出しました。

「一人を救うものは世界を救う。」
シンドラーのリスト

これはユダヤ教の聖典タルムードの言葉です。

一人のクライアントを愛し,感謝し,幸福に導くことは,まさしく世界を救うことにつながると大仰でなく思っています。

レジリエンスもポジティビティも高まった3日間を終え,可能な限り多くの方をレジリエントに導こうと決意を新たにした私でした。そうするには自分自身のレジリエンスをさらに強化し,学び続けないと…。

2015.7.8

“幸せホルモン”セロトニンの役目‐ネガティビティとポジティビティの調整役

先日,レジリエンス講師の友人とワインを飲んでいたときのこと。

レジリエンス・トレーニングでは,ネガティブ感情を早期に解消してネガティブスパイラルから脱出することが最初のステップですが,その解消法で好ましくない方法とされているのが,アルコール,ギャンブルと言われています。

なんでアルコールはネガティブ感情の解消に好ましくないのか?むしゃくしゃしたときに気晴らしに酒を飲んだっていいんじゃないの?ぱあっと気が晴れるし…。って思っている酒飲みは多いと思います。その友人もよく質問を受けるとおっしゃってました。

アルコールもギャンブルも中毒になりやすい,依存症になりやすいからというのが理由なのですが,それだけではなく,セロトニンの分泌量が低下して,脳内のホルモンバランスが悪くなるから,結局,ネガティビティが解消されないんでしょうね。

脳内で重要な働きをしている脳内ホルモンとして,ノルアドレナリン,ドーパミン,セロトニンの3つが知られています。ノルアドレナリンはストレスを感じると多く分泌されるホルモンで,ネガティブ感情を発生させます。一方,ドーパミンは,快楽ホルモンで,過剰に分泌されると,喜びなどの快感が持続します。これら2つのホルモンに対して,セロトニンは,ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑制し,心のバランスを調整する役割を持っています。

アルコールやギャンブルは,ドーパミンの分泌を増やすので,一見,ポジティビティが高まり,ネガティブ感情の解消に有効ではないかと思わますが,ドーパミンの過剰分泌を引き起こして依存症を引き起こす原因にもなるし,ネガティブ感情が高まっているようなノルアドレナリンの分泌量が多いときにアルコールやギャンブルをすると,セロトニンのバランサーの役割をはるかに超えるドーパミンが分泌されて,ネガティビティの解消にはならないんでしょうね。セロトニンが働かない分,ネガティブ感情をかえって増幅するのではないかと思われます。

ネガティブ感情の解消法として適切といわれている,運動,呼吸,音楽,筆記などは,ドーパミンも適度に分泌量が増えるし,セロトニンも適度に作用するので,ネガティブ感情が解消されるのでしょうね。

そう考えると,セロトニンの役割は凄いなあと思いますね。清濁併せ呑んでバランスをとる憎いやつ。

アルコールやギャンブルで依存症になるメカニズムには,脳内の報酬系と呼ばれる神経系が関与します。この話は,今後のブログで書こうかなあと思います。

というわけで,酒癖の良し悪しは,セロトニンが脳内でちゃんと働いているかどうかにかかっているだろうと思います。

アルコールはネガティブ感情の解消には適切ではないですが,ポジティビティの高い状態では,ポジティブ感情を増加させる働きがあると思います。エビデンスは今のところないですが,経験上,間違いありません。

なんせ私はプロのワインホリック(ワイン中毒者)ですから…。あれっ??論理矛盾しているかな?

2015.6.22

生きているだけで幸せ‐中立進化説が導くレジエンス

チャールズ・ダーウィンの進化論「自然選択説(自然淘汰説)」はあまりにも有名ですよね。

環境に適応した形質をもつものが生き残って進化するという,適者生存の理論です。よくビジネスの世界でもこの理論は引用されてて,環境に適応するように変化しなければビジネスパーソンも企業も生き残れない,淘汰されるなんて喩えられていますよね。

適者生存は、「サバイバル オブ ザ フィッテスト」といいます。

自然選択説に対して、非常にユニークな進化論を提唱した日本人の分子遺伝学者がいました。木村資生氏です。

彼の進化論は、「中立進化説」といいます。この説は,今では定説として通っています。

分子レベルの遺伝子の変化(DNAを構成する塩基配列の1つが変わる突然変異)は,実は大部分は表現型(外面に現れる形質のこと)として現れず,生存に有利でも不利でもない中立的なものなのです。その中立的な突然変異をした遺伝子が集団に拡散するのは,全くの偶然のなせるわざで,これを学術用語では「遺伝的浮動」といいます。

中立的な突然変異が偶然,集団に拡散し,集団内の遺伝的多様性が増し,中立的な突然変異からさらに偶然,表現型に現れる遺伝子に変異し,それが環境に適応すれば淘汰されずに残る。つまり,自然淘汰は,進化の決定要因ではありますが,進化をドライブする原動力は,突然変異遺伝的浮動。要するに,“偶然”,“たまたま”なのでした。

木村資生氏は,この偶然のなせるわざを,「サバイバル オブ ザ ラッキィスト」(幸運なものが生き残る)と表現しています。

要するに,私たち,ヒト(ホモ・サピエンス)という種が存在するのは幸運のなせるわざで,ヒトという種が進化して現れなければ,当然,私たちはこの世にいないわけですね。本当にラッキーだから今,生きている。そう考えると生きているだけで幸運で幸せっていう考え方は理にかなっていると思いませんか?

ヒトという種を生み出した偶然,遺伝的浮動に感謝せずにはいられません。このような生命の進化の歴史レベルの壮大な時間軸に感謝をすると,レジリエンスが思いっきり強化される気持ちになります。

さらに,男女が出会って恋愛関係になる確率は,とある情報では7200兆分の1だとか(←ホンマかいな?)。そんなことを考えると,私たちがこの世に生を受けるなんて奇跡に近いですよね。

昨夜,プチ同窓会で,同級生の小さなご子息と会話しながら,ふと,木村資生さんの「サバイバル オブ ザ ラッキィスト」が思い浮かんだのでした。ちょっと生物的な話ですみません。元生物教科書編集者なので…。次回はやわらかいブログに戻ります。