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2015.5.26

ポジティブ心理学とポジティブシンキングとの違いpart2-ネガティビティの捉え方

前回のブログから引き続き,ポジティブ心理学とポジティブシンキングとの違いについて

前回は,科学的証拠の有無がポジティブ心理学とポジティブシンキングとの違いの1つとし,ポジティブ心理学は科学という学問で,ポジティブシンキングは根拠に乏しい個人の考え方と説明しました。

今回のブログでは,もう1つの違い,「ネガティビティの捉え方」を説明します。

ネガティビティは必要か?不要か?

ネガティビティとは,怒り,不安,怖れ,嫌悪,嫉妬などのネガティブ感情と同じです。このようなネガティブ感情(ネガティビティ)を持つことは,決して気分の良いものではないですね。人間誰だって,不安感や恐怖感を抱いたりせず,イライラしたり怒ったりせず,または人を憎んだり妬んだりせずに過ごしたいと思っているはずです。(そんなことはないよと思っている人はゴメンナサイ。)

ネガティビティは気分の良いものではないですが,ある程度は私たち人間が生きる上で必要な感情です。例えば,恐怖感は,生命が奪われるような危機的な状況において,逃走行動を引き起こします。怒りは,自分の権利(生存権や幸福になる権利)が外敵から奪われそうになった状況で,外敵から権利を守るために戦う攻撃行動の原動力となります。さらに,不安感は,無計画な暴走行為を抑える働きをしますし,憎悪や嫉妬は肯定的なエネルギーに還元すると,爆発的な創造や発展を生み出します。

このようにネガティビティはすべて悪で排除すべきものではありません。むしろ,人間(あるいは哺乳類以上の動物)が生存していく上で必要な感情だと思います。ポジティブ心理学者もネガティビティは,
1.人間の基本的な性格を変えるきっかけを与えたり,
2.心の奥底に誘い,本当の自分と対話させたり,
3.謙虚さや道徳的な配慮,思いやりを身につけたり
することができるポジティブな効果もあると主張しています。

ポジティビティとネガティビティのバランス

ただし,ネガティビティはタチの悪い特徴があり,放っておくとネガティブスパイラルにはまって失敗を恐れたり,消極的な行動しかとれなくなって無力感が充満したり,最悪の場合,破局的な思考を招くことになります。ですので,ポジティブ心理学では,ネガティブ感情よりも多くのポジティブ感情を増やすことを唱えています。バーバラ・フレデリクソン博士の理論によれば,ネガティビティの3倍以上のポジティビティがあれば,人は上昇スパイラルに達すると言われています。

ポジティブシンキングでのネガティビティの捉え方

それでは,ポジティブシンキングではネガティビティをどう捉えるのでしょうか?

ポジティブシンキングでは,ネガティブな感情や出来事をポジティブな表現に変えることをよく行います。この行為は,一時的に人を肯定的な気分やプラスな思考にもっていくには効果があるかと思いますが,感情や行動のポジティブな面にしか焦点を当てず,ネガティビティを無視したり否定したりすることにつながります。ネガティブ感情が充満したまま無理やり心をポジティブに持っていこうとする行為が当たろうかなと思います。

このような行為は,ポジティブ心理学では「偽りのポジティビティ」と言うことがあります。バーバラ・フレデリクソン博士の言葉を借りれば,「目を閉じたポジティビティ」とも言えるでしょうか。「偽りのポジティビティ」は,人の健康を損ね,下降スパイラルに陥らせるような悪い効果があると科学的に証明されています。だから,ポジティブ心理学では,「偽りのポジティビティ」に陥ることなく,ネガティビティにもしっかり向き合い,それを科学的に解消・低減させ,ポジティビティを科学的に増加させることを研究しています。また,そのようなトレーニングを開発しています。

ポジティブ心理学は,ネガティビティと向き合いながら科学的に対処するものと捉えており,ポジティブシンキングは,ネガティビティを無視したり否定したりするものと捉える傾向が強いようです。このような「ネガティビティの捉え方」の違いが,ポジティブ心理学とポジティブシンキングを区別する大事なポイントと思います。

次回のブログで簡潔に要約しようと思います。

2015.5.25

ポジティブ心理学とポジティブシンキングとの違いpart1-科学的証拠の有無

久しぶりのブログ。

先週は東京遠征で忙しく,心身ともに疲れ切ってしまったのでブログを書く気持ちが起こりませんでした。こんなことではいけないと思い,気持ちを引き締めてブログ更新の頻度を高めていこうと思います。

最近,商談などで,「ポジティブ心理学をベースにしたレジリエンス・トレーニングはポジティブシンキングと何が違うのですか?」という質問をよく受けます。また,「ポジティブシンキングの伝道師たる松岡さんが,○○さんのネガティブキャンペーンをはっている○○を支持するのはどういう訳なんですか?」といった質問も受けたことがあります。その都度,ポジティブ心理学とポジティブシンキングの違いを説明していますが,やはりまだまだ誤解される方が多いようですね。

ポジティブ心理学者は「ポジティブシンキング」という言葉が嫌い?

マーティン・セリグマンやバーバラ・フレデリクソン,イローナ・ボニウェルなど著名なポジティブ心理学者の著書を読むと,必ずといってよいほどポジティブ心理学とポジティブシンキングとの違いに言及している印象があります。これは,多くの一般の人々が持つ,「ポジティブ心理学って,ポジティブシンキングのことでしょ?」という偏見に対して,ポジティブ心理学者が悩まされている証左でしょう。正直,このような偏見・誤解には,ポジティブ心理学者は迷惑に思っているだろうし,「ポジティブシンキング」という言葉と,その言葉が発する“ネガティブなイメージ”とポジティブ心理学とを同視する誤解に対して,辟易としていると思います。

私もポジティブ心理学者と同感で,「株式会社ポジティビティが提供するサービスと,ポジティブシンキングとは同じでしょ?松岡さんはポジティブシンキングの伝道師なんでしょ?」と思われると本当に残念な気持ちになります。私の(そして弊社の)ミッションは,『レジリエンスの高い人々,ポジティビティ溢れる繁栄型組織を育て,双方の持続的成長にコミットする』ことですが,私はポジティブシンキングの伝道師ではないですから。

では,ポジティブ心理学とポジティブシンキングって何が違うのでしょうか?

私は,ざっくり,「科学的証拠(エビデンス)の有無」と,「ネガティビティの扱い方」の2つと考えています。

科学的証拠の有無

ポジティブ心理学は,1998年に提唱された心理学の新たな潮流ですので,れっきとしたサイエンスとしての心理学の一分野です。つまり科学なのです。ポジティブ心理学をベースにしたさまざまなワーク,心理テスト,アセスメント,トレーニングプログラムは,膨大な人と時間を費やして調査された実証データに基づいて開発されています。私どもが提供するレジリエンス・トレーニングプログラムも,ポジティブ心理学,レジリエンス研究,PTG研究,行動認知療法のエビデンスをベースにして開発されています。
一方,ポジティブシンキングとは,各々個人が,自分自身の経験や判断をもとに自分の(ポジティブな)価値観や信念を主張・提唱するものです。したがって,個々人の考え方ですので,ベースに根拠がある場合と単なる思い付きの場合があります。根拠がある場合も,個人の経験則の場合がほとんどで,科学的に実証された結果には及びません。

まとめますと,ポジティブ心理学は科学という学問で,ポジティブシンキングは根拠に乏しい個人の考え方と言い換えることができると思います。

ブログが長くなったので,もう1つの違い「ネガティビティの捉え方」の説明は,次回のブログに続けます。

2015.5.18

レジリエンスは超一流の成功者の必須要因

先日,ビジネスコーチの学友のグループの好意で,関西の勉強会に招かれ,レジリエンスの講義をさせていただきました。ビジネスコーチの資格を持っている方やプロフェッショナルで活躍されている方が多く,それぞれが,人や組織を生き生きと活性化させたいという共通の志を持っているので,大変熱心に聴いていただき,気持ちよく講義をすることができました。

レジリエンスは超一流の成功者の必須要因

講義の中で,レジリエンスの強い著名人やスポーツアスリートの例を挙げ,「レジリエンスは超一流の成功者の必須要因」ですと紹介すると,数名の方に響いたのか,いろいろなところで取り上げていただいています。嬉しいですね。

自分でも,講義のためのパワーポイントの資料をつくっていて,大記録を達成したり,人々を感動させた超一流のスポーツアスリートや,世界を驚嘆させたイノベーションや大発明を起こした科学者や経営者は,例外なくレジリエンスがとても強いことを再認識しました。成功したからレジリエンスが強くなったのではなく,レジリエンスが人一倍強いからこそ成功したのだと判断しています。

ポジティブ心理学では,よく「成功したから幸福なのではなく,幸福だからこそ成功する」と言われます。幸福度が高いほどレジリエンスも強化されますので,前の言葉は,「成功したからレジリエンスが強いのではなく,レジリエンスが強いからこそ成功する」と言い換えることができると思います。これは真理だと思います。

ストレングスカードの効果

講義では,レジリエンス・トレーニングの一部を体験してもらうため,ストレングスカードを用いた自己の強みの確認と活用を検討するワークをしていただきました。50枚のストレングスカードを並べると,強みというものが50種類もあるのかと視覚的に理解でき,驚いたとの声をいただき,とても好評でした。

関西all勉強会

自分のライフワークとして選んだ仕事が充実した素晴らしいものと実感できた一日でした。関西のビジネスコーチの学友の皆様,本当にありがとうございました。感謝感謝でございます。

2015.4.20

雨男の心理学-“すっぱいぶどう理論”的社会貢献

今日は一日雨でした。雨っていうと,マイナスなイメージを持たれる方が多いかと思いますが,私は雨は嫌いではないです。これが雨男と言われる所以でしょうか?梅雨の時期に生まれたからでしょうか?

私の雨男ぶりは,友人・知人には有名で,何か屋外のイベントに参加して雨が降ってしまうと的面,私のせいにされてしまいます。花見だったり,サッカー観戦,野球観戦だったり,仲間内の研修・勉強旅行もそうでした。予報では降水確率0%の晴天のときも私が参加を決めると雨が降ったりしたことも数多くあります。最近では,雨などと生易しいものではなく,爆弾低気圧や台風が1つや2つ襲来することもあります。私は嵐を呼ぶ男なのです。

大切な日に雨が降ったために生じる不満は,心理学では「認知的不協和」と呼ぶそうです。このとき,不協和なままでいると,人はフラストレーションを起こすので,「雨男である松岡さんがいるから雨が降ったんだ。」と不合理な理屈をつけてでも不協和を軽くしようとします。もちろん,「自然現象だから仕方がない。」と合理的に考えても認知的不協和は軽減されます。普通,そう考えてくれてもよさそうなものなのに…。

欲求が満たされないとき,欲求と現実のギャップを埋めるために都合のよい理屈をつけて埋め合わせる人の心理的機能をイソップ童話から引用して“すっぱいぶどう理論”と呼びます。大事なイベントが雨で台無しになった原因を雨男のせいにするのは,“すっぱいぶどう理論”ということですね。

まあ不合理ながらも友人の認知的不協和を少しでも軽減することに貢献できる私はなんと幸運な男なのでしょう。そう捉えれば,雨男とレッテルを貼ってくれた多くの友人に感謝しなければ…。ポジティビティもレジリエンスも高まってきました。

窓外の降りしきる雨を見ながら,そんな他愛もないことを考えていた一日でした。

2015.4.19

ホッとする朝の出来事

今朝,ジョギングした後のこと。クールダウンしていると,お母さんに連れられて2歳くらいの小さな女の子が目の前を歩いてきました。私のランニングウェア姿が珍しかったのか(ごく普通のウェアなんですが??),それとも私からオキシトシン(癒しのホルモン)が分泌されていたのか,その女の子は,ストレッチしている私を興味深げに凝視しながら歩いていたのでした。お母さんから距離が離れていくのも気づかずに。トコトコと。
お母さんも途中で娘が変なおじさんに興味津々で歩みを緩めているのに気づき,私に軽く会釈して娘に早く着いてくるように促したのでした。(お母さんは,私のことを特段不審な人だとは思ってなかったことは言うまでもありません。)
女の子は,いまだ好奇心がおさまらない様子で私の方に余所見をしながらお母さんの方へ小走りに近寄ったのでした。私がほほ笑みながら手を振ってバイバイすると,女の子も笑いながら手を振って去って行きました。

子ども1

日常の何気ない出来事なんですが,ホッと癒されましたね。仕事上で辛い決断をした後だっただけに,ポジティビティも高まり,レジリエンス資源も蓄積されました。
明日からまた心が折れず頑張れそうです。